防除プログラムの
導入成功事例

実例 01

丁寧な薬剤散布と新しい防除プログラムの導入で
ハダニの増殖を抑える

イチゴ生産者
箱崎 庄一さん 箱崎 雅江さん
(福島県いわき市)

 バンカーシートを導入するまでは、毎年10月下旬からハダニが発生してしまい、化学農薬を連続して散布したり、チリカブリダニを多用(最大5回)したりしていました。ですが、最近のハダニ防除は、ハダニの発生動向に合わせて、ミヤコバンカー(2回)、化学農薬(2回)のプログラムで完了です。
 このプログラムを3年実施していますが、収穫終盤までハダニの増殖を抑えることができ、とても満足しています。なお、1回目のミヤコバンカー設置後、2か月後にはグレーシア乳剤を散布するので、ハダニだけでなくカブリダニもいなくなってしまいますが、このタイミングでハダニゼロの状態にしておくことが、作期後半までハダニの増殖を抑えることに貢献していると思います。
 育苗期の薬剤散布は、鉄砲ノズルを利用して、1~1.5MPaの散布圧で10a当たり300Lを90分で作業しますが、葉裏にかかるようにノズルを下から上に動かして丁寧に作業を進めます。散布圧が高い場合は、作業時間が短縮できますが、防除効果が十分に得られず、結果的に散布回数が多くなってしまう可能性もあります。 薬剤散布は、回数よりも1回の散布を丁寧にする事を心掛けています。

導入防除プログラム

  • ・4月下旬:ミヤコバンカー(1回目)親株に設置
  • ・6月下旬:グレーシア乳剤を散布
  • ・10月:ダニオーテフロアブルを散布
  • ・10月下旬〜11月上旬:ミヤコバンカー(2回目)を本圃に設置
実例 02

新しい防除プログラムの提案で
収穫量アップとコスト低減を実現

JA営農指導員
JA埼玉中央 内野 悟さん
(埼玉県比企郡吉見町)

 イチゴ栽培では、特にハダニ防除が重要ですが、本圃で増えてしまった後に対策をするのではなく、増やさないための育苗期からの対策が大切と考えています。
 天敵農薬を利用している生産者は以前からいましたが、上手に使いこなすことができず、期待していた効果を感じられないとして、継続利用する生産者は限定されていました。ミヤコバンカーの一番のメリットはミヤコカブリダニの増殖を促す機能であり、防除効果が安定し、生産者が安心して利用することができます。
 経営規模が比較的大きい生産者や、規模拡大を予定している新規就農者には「高濃度炭酸ガス装置」+「本圃へのミヤコバンカー」、大規模な設備投資が難しい方には「親株へのミヤコバンカー」+「本圃へのミヤコバンカー」を提案しています。
 高濃度炭酸ガス装置の導入は高額な投資となるため、導入を即決する生産者は多くはいませんでしたが、出荷組合のメンバー間でハダニ被害の状況や、先行導入した方の上手な使い方を共有することで、導入が増えています。
 新しい防除プログラムの導入によってハダニ防除が成功し、イチゴの生育が旺盛になることで収穫時期が早まり、収穫終了時期も延長できました。また、薬剤散布回数も減少し、作業時間と薬剤コストの低減も実現しています。

[高濃度炭酸ガス処理+ミヤコバンカー設置]
新規導入者の成果

令和3〜4年(7名平均※)出荷量:111%(前年比)、販売金額:108%(前年比)
※令和3~4年に面積変動がない7名の平均値

実例 03

試験結果は、二重丸どころか
“花マル”でした

イチゴ生産者
田浦 和範さん
(長崎県雲仙市)

 3~4年前に天敵ボトル製剤等を使用しましたが、効果が実感できず、化学農薬によるハダニ防除に切り替えました。しかしながら、2021年には育苗期からハダニが多発し、さまざまな薬剤を散布しても抑えることができず、大変困っていました。
 そのような中、JA全農ながさきから『イチゴハダニゼロプロジェクト』の紹介があり、「とにかく言われるとおりやってみよう」と決心して、実証圃試験を行ってみることにしました。
 結果としては、二重丸どころか“花マル”でした。ゼロ放飼は達成できず多少ハダニが発生しましたが、広がることはなく、育苗期から収穫までハダニに困ることはありませんでした。
 今回の試験結果をほかの生産者にも伝えたいですし、JAとしてもそうしていただきたいと思います。
 今後については、今回の実証圃試験の経験を活かし、育苗期防除を徹底して、本圃で『ミヤコバンカー』を放飼する予定です。

実証圃試験の結果

試験面積:8a、品種:「ゆめのか」、収量:7.5t/10a、試験時期:11〜3月
圃場全体ハダニ指数:ミヤコバンカー放飼時0.006、本圃0.14(月1回調査した指数最大値)

実例 04

多くのことも学べて
試験結果は大変満足

イチゴ生産者
市田 靖彦さん
(長崎県雲仙市)

 10年以上前から天敵ボトル製剤を使用し、『ミヤコバンカー』も5年ぐらい前から使用しています。
 ただし、2021年は12月頃からハダニが増え始め、年明けにチリカブリダニを追加し、その後も薬剤防除することになりました。
 そうしたときに、JA島原雲仙の営農指導員から『イチゴハダニゼロプロジェクト』を紹介していただき、「もっと天敵のことを勉強して使いこなせるようになる」ために、今回の実証圃試験を行うことにしました。
 また、気門封鎖剤の上手な使い方など、多くのことを学べたのもよかったと思います。
 次作も、育苗期から防除を徹底し『ミヤコバンカー』のゼロ放飼により、本圃で化学農薬を散布しなくても済むようにしたいです。
 また、『ミヤコバンカー』放飼後の湿度管理に気をつけて、その効果を最大限に活かしていきたいと考えています。

実証圃試験の結果

試験面積:10a、品種:「恋みのり」、収量:5t/10a、試験時期:11〜3月
圃場全体ハダニ指数:ミヤコバンカー放飼時0、本圃0.00(月1回調査した指数最大値)