ハダニピークを
作らない
防除プログラム

育苗期から本圃初期の
防除プログラム

チェック!

【注意1】 『ダニオーテフロアブル』を使用する場合、銅剤は子苗や本圃では使用しないでください。
【注意2】 天敵を導入している期間はハウス内湿度の管理に注意し、晴天日の昼間湿度50%以下が長期間継続する場合には、湿度維持のための対応を行います。

ポイント

【サフオイル乳剤の薬害軽減】 サフオイル乳剤を散布する際は、湿展性の高い展着剤(まくぴか等)を加用し、晴天日の午前中に散布しましょう。作物に均一に広がり、乾き易くなるため薬害リスクを軽減できます。

イチゴ葉裏への
薬剤付着を高める

ハダニ類は通常葉裏に存在するので、薬剤が葉裏に付着しないと効果が発揮できません。

参考データ
試験/ノズル別の薬剤付着量評価(A〜C)

品種:とちおとめ、阿波ほうべに
出典:JA全農(2023年千葉、徳島)

【試験概要】

1試験区あたり10株、1株当たり上部・外部・内部の葉の表と裏に、
3×3cmのろ紙を貼付けノズル散布後の薬剤付着量を分析。

A評価
付着
sanpu1
B評価
付着
sanpu2
C評価
付着
sanpu3

※薬液を赤色色素で表現

試験に用いた散布ノズル
ポイント

『イチゴセイバーノズル』での散布がおすすめです。果実に傷がつくのを防ぐために適切な散布圧(目安1.5MPa)で散布しましょう。

チェック!

育苗期の苗の方が、本圃の苗よりも薬剤が付着しやすいので、
育苗期間中からハダニ類を抑えることが重要です。
育苗期には新広角たて3頭口ノズルでの散布を推奨します。

気門封鎖剤の使用

ガイド 1

殺ダニ剤に
気門封鎖剤を加用

  • ・殺ダニ剤(ダニオーテフロアブル、アグリメック、グレーシア乳剤)を散布するときには、 気門封鎖剤(例:ピタイチ)を加用してください。加用することによる、相乗効果の事例も確認しています。
  • ・殺ダニ剤に気門封鎖剤を加用する時は、展着剤を使用する必要はありません。
参考データ
試験/ダニオーテと気門封鎖剤による防除効果

出典:日本曹達(2023年)

作物:イチゴ(ももか)
対象害虫:ナミハダニ(自然発生個体群)
散布日:2023年4月4日
試験規模:1区1株、6反復
試験方法:背負い式動噴を用いて各薬剤を250L/10aで散布した。
     散布は環状3頭口ノズルを用いて1往復だけ薬剤を散布した。処理後経時的に株全体の寄生頭数を調査した。
試験場所:日本曹達(株)磐梯FC

ポイント

ダニオーテのみ散布区と比較し、
ダニオーテに気門封鎖剤を加用した散布区ではナミハダニの寄生を低く抑える結果に。

イチゴ苗での
カブリダニ定着数

ミヤコバンカー区はボトル製剤(葉上ばらまき)区と比べ、
イチゴ苗に多くの「ミヤコカブリダニ」を定着させることが分かりました。

参考データ
試験/ミヤコバンカーによるカブリダニ定着数の調査結果

試験場所:徳島県立農林水産総合技術支援センター(2023年)
試験概要:ミヤコバンカーとボトル製剤(葉上ばらまき)放飼後、ミヤコカブリダニの定着数に差が生じるかを調査。
クラウン径が15mm以上(太い株)と10mm以下(細い株)で区分けし、各区5株ずつ分解してクラウン部のカブリダニ数を計測。
放飼:10月13日
抜き取り:11月9日
※アルファベットの違いは有意差を示す
※ハダニのいない条件下での試験

チェック

ミヤコバンカーは、イチゴ苗の生育状況に関わらず、
多くの「ミヤコカブリダニ」を定着させます。

モベント®フロアブルの使い方

  • ・苗をコンテナに”隙間なく”詰めてから、コンテナを”隙間なく”配置して、頭上灌注しましょ
    う。ただし、作業工程の都合により、実施できない場合は、「手元ストッパー付きの動噴」
    を使用することで、灌注する際の薬液ロスを抑えることができます。
  • ・防除効果を安定させるため、12ページの防除プログラムの通り、灌注前にアグリメック、灌
    注後にサフオイル乳剤を使用しましょう。
ポイント

灌注当日の朝は、灌水をしないでください。
防除効果が低下する可能性があります。

参考データ
試験/潅水18時間経過後のモベントフロアブル灌注による有効成分濃度

品種:紅ほっぺ
出典:JA全農(2023年 神奈川県)
試験概要:潅水24・18・2時間経過後にモベントフロアブルを灌注処理し、灌注灌注処理7日後の葉中の有効成分濃度を分析。

チェック!

潅水18時間後のモベントフロアブル灌注処理によりハダニへの防除効果が安定します。
処理目安は、夕方に潅水した後、翌日の午前中に灌注処理を行うことがおすすめです。

参考データ
試験/モベントフロアブル灌注後経過日数が異なる条件でのハダニ卵・幼虫合計数

品種:紅ほっぺ
出典:JA全農(2023年 神奈川県)
試験概要:潅水18時間後にモベントフロアブルを灌注処理。灌注7・14日後にハダニ放飼(接種)、7日後に卵の数をカウント。

チリガブリ®の使い方

ナミハダニを捕食する
チリカブリダニ

  • ・製品を受け取った後、速やかに放飼しましょう。
  • ・ハダニ類の発生初期に放飼しましょう。また、ハダニ類の発生している場所に多めに放飼しましょう。

ハダニ防除プログラムの例

ハダニ防除プログラム

2月上中旬に、ハダニ類が局所的に残っていた場合は、ダニオーテフロアブル(2,000倍)+気門封鎖剤(ピタイチ等)を圃場全体に散布します。その後、早い時期にチリガブリを放飼しましょう。

  • ・チリカブリダニが定着した場合、放飼3~4週間後頃には、チリカブリダニの増加とハダニ類の減少が確認できます。
  • ・チリガブリ導入後は、チリカブリダニに影響のある化学農薬を使用しないでください。
  • ・ハダニ発生個所(ハダニスポット)に放飼したチリカブリダニは、ハダニを抑制させる。
    ハダニが発生していない場合、チリカブリダニはすぐに死滅してしまう。
参考データ
チリカブリダニ生存率

※ハダニの卵入りリーフディスクを作成し、チリカブリダニ1頭を放虫、
チリカブリダニの生存率とハダニ卵数の経過を調査した。

※C区のみ調査途中でハダニの卵が無くなったため、新規に作成したハダニの卵入りリーフディスクに入れ替えた。

チェック!

❶ハダニ卵ゼロ区では、チリカブリダニ接種後3日後にチリカブリダニの生存率が著しく低下する。
❷ハダニ卵多数区では、チリカブリダニがハダニを捕食しきれずハダニとチリカブリダニが共存する状態が長期間続く。

ポイント

ハダニ発生個所(ハダニスポット)を中心に
チリカブリダニを放飼することが重要となります。

化学農薬の天敵への影響評価

  • ①カブリダニ類への各種薬剤の影響を確認したうえで、
    化学農薬を選択しましょう。
  • ②JA全農では、石原産業(株)・石原バイオサイエンス(株)と連携して、
    最新の試験データに基づき、影響を評価しています。
バンカーシート 薬剤影響総合評価
  • A

    天敵に影響が小さい剤。いつでもバンカーシートとの併用が可

  • A’

    2週連続散布不可

  • B

    天敵にやや影響がある剤

    【ミヤコバンカー】
    バンカシート設置前または設置後2週間以内であれば併用可
             
    ただし、6・7・8月の高温期においては、1週間以内とする
    【スワルバンカー】
    バンカーシート設置前または設置1週間以内であれば併用可
  • C1

    天敵に影響がある剤。バンカーシート設置1週間前まで使用可能。以降は使用不可

  • C2

    天敵に影響がある剤。バンカーシート設置3週間前まで使用可能。以降は使用不可

  • C3

    天敵に影響がある剤。バンカーシート設置6週間前まで使用可能。以降は使用不可

  • C4

    天敵に影響がある剤。バンカーシートとの併用は不可