食材現地レポート 「氷温造りシルバー切身」の巻

氷温造りシルバー切身

魚の商品名表示が変更されて数年。新しい名前にも慣れてきた魚、「シルバー」。学術名はシルバーワレハウといい、白身で脂肪分もある、おいしい魚です。JA食材宅配の「シルバー切身」は、袋には「氷温」と表記されています。「氷温」とは、魚のうま味を引き出す製法のことです。

氷温発見は「けがの功名」

氷温は1970年に当時の鳥取県食品加工研究所所長の故・山根昭美先生が発見しました。貯蔵法の研究中に装置の故障で凍ってしまった梨を常温に戻そうと数日間そのままにしたら、保存開始前と同じ新鮮な状態でした。この偶然に起きたエピソードをきっかけに、研究を重ねたそうです。

今日では、「食品はそれぞれ固有の『氷結点』で凍りはじめ、0℃からこの氷結点までの温度領域を氷温域」として知られています。つまり、氷温とは0℃以下で、食品などが凍り始める温度(氷結点)までの未凍結温度領域です。また、氷温技術(製法)とは、その未凍結の温度領域で食品の貯蔵や加工をすることです。

この氷温域で加工すると、鮮度はそのままで、細胞に含まれるアミノ酸が分解され、人が食べて美味しいと感じる「グルタミン酸」「グリシン」「アラニン」「アスパラギン酸」などのうま味成分が増加します。また、細菌の活動を抑制することもできるので、防腐剤などを使わずに製品化することも可能となります。

刺身並みの鮮度を持った原料のみを使用

原料のシルバーは、ニュージーランド南島・南緯50度付近やチリ沖で、トローリングで漁獲後、船上ですぐに急速凍結した鮮度がよくて脂質分の豊富なものを使用しています。鮮度のよさを数字で補足すれば、「K値が20%以下の原料を使用」となります。

(※K値とは生物の細胞中に含まれているATP(アデノシン三リン酸)という物質が生体中で分解変化していく程度を数値化したものです。鮮度の指標となる値で、数値が低いほど鮮度がよいとされています)

氷温製法で鮮度を保ったまま製品に

味付けには天日塩のみを使用し、氷温乾燥でふっくらとした食感と、魚臭を抑制したすっきりとした味わいに仕上げています

大まかな作業の流れは、下の写真の通りですが、原料搬入(1)→切身成形(2・3)→氷温熟成(4)→急速凍結(5)→包装(6)→出荷(7)、となります。

鮮度を保ったままおいしさを引き出す氷温製法には、細菌の増殖を抑える効果もあります。製品化された「氷温造りシルバー切身」は自社検査室において細菌検査を行い、厳しい基準で管理し、安全性が確認された商品だけを出荷しています。工場設備も2001年にHACCPを取得し、衛生的な環境の中で製造しています。

また、「氷温造りシルバー切身」は、健康によいとされている成分(DHA、EPA、タウリン)を含んでいます。特に、タウリンは加工することで減少しやすい物質ですが、一般的な製法と比較して氷温製法の方が減少を抑えられることが分かりました。

(1)氷温解凍庫で時間をかけて解凍
(2)センターカット
(3)規定重量にカット
(4)氷温熟成機(右:投入口、左:出口[盛りつけ])
(5)トンネルフリーザーで急速凍結
(6)金属検知器とウェイトチェッカー
(7)冷凍保管庫

*商品内容およびパッケージについて、変更することがあります。