2018年度 事業概況

2018年度(第48年度)事業概況

(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

連合会の事業活動の概況に関する事項

事業の概況

農業就業人口や耕地面積の減少等が依然として続くなか、2017年の農業総産出額は9.3兆円と、3年連続で前年を上回ったものの、生産基盤自体は弱体化しており、今後の強化が課題となっています。一方、49歳以下の若手新規就農者数は4年連続で2万人を超えるなど、明るい兆しも見られます。
また、外交分野では、TPP11および日EU・EPAの貿易協定の発効に加え、米中貿易交渉の結果が、その後に続く日米貿易交渉にも影響を与える恐れもあり、農畜産物の輸入増加や、国産農畜産物の価格下落が懸念されます。今後も、輸入量の動きや国内需給、国産の価格動向等を注視していく必要があります。

こうしたなか本会は、2016~2018年度の3か年において、3つの重点事業施策([1]持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献、[2]海外事業の積極展開、[3]元気な地域社会づくりへの支援)に加え、本会自己改革の取り組みについて、組合員・会員のため、本会グループ役職員が総力を挙げて、以下のとおり着実にすすめました。

ア.持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献
  • (1)

    プロダクトアウトからマーケットインへ事業を転換

    実需者・消費者のニーズを把握し、本会グループ自らが直接販売していく事業方式への転換をはかりました。

    • a.直接販売(米:2018年産125万トン、前年比123%、園芸:2018年度3,497億円、前年比108%)・買取米(2018年産50万トン、前年比135%)の拡大
    • b.広域集出荷施設など直販関連インフラの整備(米:3か年累計6か所設置、園芸:3か年累計7か所設置)
    • c.実需者等との出資・業務提携(米:3か年累計5社、園芸:3か年累計3社)
    • d.加工・業務用の米・青果物等の実需者ニーズにもとづく契約栽培の拡大
    • e.営業開発部(2017年9月)、フードマーケット事業部(2018年4月)の新設
    • f.グループ会社と連携した商品開発(2018年度10商品)、JAタウンなどeコマース事業の強化、外食・中食店舗の出店拡大(「みのりみのる店舗」3か年累計6店舗)
  • (2)

    生産から販売までのトータルコスト低減

    農家手取り最大化に向けて、全国55JA(83経営体)をモデルに選定し、生産資材の価格引き下げ(物財費の削減)に加え、労働時間の削減や生産性向上のメニューを導入したトータルコスト低減に取り組むとともに、JA事業基盤の拡充に向けた支援をおこないました。

    • a.資材の銘柄・規格集約(肥料:延べ547銘柄→25銘柄、段ボール:規格削減率18%)、生産者の声を反映したトラクターの共同購入(2018年度853台)、および農薬担い手直送規格の拡大(2016年度2.1万ha→2018年度10.4万ha)などによる物財費削減
    • b.ICT等生産性向上に資する技術の普及や、ドローン製造販売会社への出資(2017年10月)
    • c.JA共同利用施設の有効活用に向けた総合コンサルの実施によるJA事業基盤の支援(3か年累計7JA)
  • (3)

    農産物生産に係る多様化する農業者ニーズへの柔軟な対応

    • a.高生産性水田輪作体系(3か年累計5法人のモデル経営体で実証)・ゆめファームによる大規模施設園芸生産技術の実証(栃木、高知)
    • b.生産者が抱える課題に対応した農作業受委託など労働力支援の実施
    • c.国際水準GAPの団体認証取得支援(3か年累計6産地で取得)
イ.海外事業の積極展開
  • (1)

    本会への結集による国産農畜産物の輸出拡大

    • a.輸出対策部の新設、およびJA全農インターナショナル(株)との輸出事業の一元化(2017年4月)
    • b.重点7か国(香港、シンガポール、タイ、英国(欧州)、中国、台湾、米国)における海外営業拠点の整備
    • c.米の輸出用産地づくり(3か年累計15県24JA、209ha)や青果物リレー出荷による常設販売棚の確保
    • d.海外eコマースサイトへの出店(中国、香港)
    • e.英国食品卸会社の買収(2016年11月)、および米国食肉卸会社との合弁会社の設立(2017年11月)など、新たな販路拡大やユーザーニーズへの対応強化
  • (2)

    肥料・飼料原料の安定調達に向けた取り組み

    • a.肥料原料(リン安等)の安定調達に向けた、中国の大手リン酸製造会社の増資引受(2016年12月)などによる海外山元との関係強化
    • b.米国での全農グレイン(株)の船積能力の増強(2018年3月完了)、ブラジルでの現地穀物集荷・輸出会社への出資(2017年7月)による内陸集荷から輸出までの一貫体制の構築、カナダでの内陸集荷体制の整備など、子会社や関連法人、海外農協組織と連携した飼料原料の調達力強化
ウ.元気な地域社会づくりへの支援
  • (1)JA生活店舗のコンビニ等への業態転換(3か年累計118店舗)や移動購買車の導入促進(3か年累計17JA、22台)などによるライフライン対応強化
  • (2)直売所を併設した大型Aコープ店舗(JAファーマーズ)の出店拡大(3か年累計14店舗)
  • (3)SSの統廃合やセルフ化促進(2018年度末セルフ化率38.1%、累計944SS)
  • (4)JAグループ施設・営農施設への電力供給拡大(3か年累計契約件数2,911件、供給量264百万kWh)

上記に加え、以下の広域事業展開・再編や合理的な体制の整備をすすめました。

  • (1)農薬や農機部品などにおけるJA域・県域を越えた広域物流の取組拡大(農薬広域物流(3か年累計2拠点)、農機広域部品センター(3か年累計1センター4県))
  • (2)農機事業や資材店舗などにおけるJAと本会による共同運営の拡充(農機一体事業運営(3か年累計3県、3JA)、共同運営資材店舗(3か年累計2店舗))
  • (3)Aコープ会社の経営基盤強化に向けた広域再編(3か年累計5社21県)
  • (4)港湾・地域別の立地・老朽化の状況等をふまえたJA西日本くみあい飼料(株)における飼料工場の集約・再編や、ホクレンくみあい飼料(株)の子会社化による飼料供給体制の合理化

また、これらをすすめるにあたっては、職員1人ひとりの力を引き出し、役職員が一丸となって実践するための意識改革に資する様々な取り組みを実施しました。
具体的には、新たに外部からの人材を役員等に招聘したほか、目標管理制度の改定、在宅勤務制度の試行・ジョブリターン制度の導入など人事制度の見直し、積極的な本部間異動、および5年後、10年後を見据えた大幅な機構改革を実施しました。
さらに、ほぼ全県において、全農リポートを活用した代表理事等と職員との意見交換を積極的に実施したほか、職員からの応募による新規事業提案「Zennovation」の実施、表彰制度の拡充など、職員のモチベーション向上に向けた取り組みをおこないました。
また、組織内外に向けた積極的な情報発信をおこない、メディア・一般消費者への本会事業に対する理解度向上をはかるとともに、農業関係団体との対話を通じて、現場の意見を取り入れた事業運営につとめました。

一方、被災地への支援では、本会が出資するJA出資型農業生産法人への生産・販売支援や、全農東北プロジェクトを核とした東北産農畜産物の販売拡大に取り組みました。また、西日本を中心に甚大な被害をもたらした2018年7月豪雨、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震において、被災した圃場やJAの施設等の復旧支援をおこないました。

こうした取り組みにより、2018年度の経営概況について、取扱高は米の価格が上昇基調にあるなか、作柄不良にともない販売数量が減少したことや、天候不順による青果物の販売価格の低下があったものの、原油価格の高値推移や、配合飼料原料の価格上昇等により、計画を上回りました。
経営収支は、特別損益にて減損損失を計上しましたが、その他経常損益における受取配当金の増加等により、当期剰余金は計画を上回りました。

事業別実施事項

事業運営・経営管理 災害からの復旧・復興

全農について