にしの風 2021年1月号
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NCC・JA全農ながさき 第27回おかあさんの詩コンクール 入賞作品紹介「忘れない」あの日の笑顔を僕は忘れないあの時の言葉を僕は忘れないあの時のボールの感触も僕は忘れないどこの町のどの公園かなんて覚えちゃいないその日の気温や天気なんかも覚えちゃいないその日のお昼ご飯もテレビの内容も覚えちゃいないだけれど絶対に忘れちゃいけないことが一つだけあるその日は確かに父とキャッチボールをしたなかなか上手くいかなくてふてくされたりなんかもしたボールをしっかりキャッチできたときは飛び跳ねながら喜んだりもしたその度に父は僕を励ましてくれた一緒に笑って喜んだりもしてくれたその時の父の手は大きくてゴツゴツしていたでもその手は何よりも優しくて何よりも温かかった僕が小学校に入学する一ヶ月程前に父は亡くなったあの日のすごく温かかった手が嘘のように棺桶の中で眠る二度と目覚めないだろう父はすごく ものすごく冷たかった「いつまでもしょげていたらお父さんが悲しむよ」と母は言った僕は無理して笑っていたあの日の笑顔を僕は忘れないあの時の言葉を僕は忘れないあの時のボールの感触も僕は忘れない【選  評】 原稿用紙二枚の長い詩でしたが、構成のよさや詩の技法の上手い使い方で作品に引き込まれていきました。また、言葉の遣い方も巧みです。中学一年になった今、父への様々な思いがあると思います。しかし、キャッチボールに焦点を絞って書いていることや「忘れない」の繰り返しで、その出来事がいかに印象深いかが伝わってきました。受 賞受 賞最優秀・JA全農ながさき賞佐世保市立柚木中学校1年石田 陵汰さんいつも優しい陵汰そのままの気持ちで大きくなってね。いつも愛情深く育ててくれてありがとう。おかあさんから子供さんへ一言メッセージ子供さんからおかあさんへ一言メッセージ9にしの風

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