にしの風 2022年6月号
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します。ハウス栽培なので、ハウス内の空間を最大限利用して収量を上げようとしていますが、大きくしすぎると空気の通りが悪くなり、温度管理が難しくなります。それと同時に、翌年の着果量の量を調整するために剪定していきます。剪定後は水や肥料を与えて樹勢を回復させると、約12日後に発芽します。発芽後は、一時的にビニールを剥ぎます。実は、ハウスみかんといえど、1年中ビニールを被覆しているわけではないのです。その後、発芽して約120日後からハウス内の加温を行うため、それより約2週間前にビニールをかけます。加温後は約10日で出蕾し、約35日経つと満開になります。花が咲かなければ実らないので、加温開始から1週間の温度調節が勝負です。ハウス内を温めることで開花を促すことができますが、逆に温度が高すぎても花が落ちてしまったり、形や品質も悪くなったりしてしまうので、温度管理はとても難しいです。そのため、きちんと花が咲くよう、技術と責任をもって管理しています。満開から50日後の12月から1月にかけて30ミリほどのみかんが実ります。その後も温度管理を徹底して行い、5月下旬に収穫を迎えます。みかんのヘタが濃い緑色から薄緑になると完熟している証拠。毎年、台風のシーズン前に収穫を終えるようにしています。就農当時と比べて温暖化が進み、年々温度管理が難しくなってきました。温度が高くなりすぎると花や実が落ちてしまいますし、早く熟してしまうことも、計画的な出荷ができなくなる原因となります。基本的な栽培方法は変わりませんが、温度が1度上がっただけでも影響が出てくるので、曇天が3日続く場合は温度を1度下げて細かく温度管理をするなど、毎年気候に合った栽培をできるよう、勉強しています。約1年かけて作ったみかんの収穫時期は、忙しいけれど嬉しい時期でもあるので、毎年笑顔になります。ここ数年はコロナ禍で実施できていませんが、例年、販売促進のため市場や消費地のスーパーで試食宣伝を実施し、目の前でお客さんに食べてもらえていました。自分が作ったみかんを食べたお客さんは、みんな笑顔になるんです。それを見て「今年もよかみかんができたかな」と思い、私まで笑顔になるんですよね。今年もたくさんの方に私が作ったみかんを食べてもらい、ニッコリ笑顔になってもらえると嬉しいです! 5   その年に合った栽培を行う笑顔をたくさん届けたい取材当日(5/24)は200コンテナ(4㌧)分の初選果が行われました 鈴なりのみかん立派に実ったみかん満開時にはたくさんの花が咲きます

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