にしの風 2023年2月号
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いちごを多く実らせるために光を調節環境に対応する環境制御システムを導入市場に求められる産地を目指す※短日植物…… 日照時間が短いときに花をき、または毎日収穫しなければなりません。今年は特に寒暖差が大きかったので、 収穫のタイミングを見定めるのが難しかったです。いちごのように果実を食べる野菜は、     5で花を咲かせています。夕方の日が暮れ花が咲かなければなりません。花が咲く回数が増えれば実るいちごの数も増える、ということです。しかし、いちごは短日植物なので夜中は花が咲きません。昔は「ジベレリン」という植物ホルモンを与えていましたが、現在は光を調整することた直後と、日の出前。そして夜中と、それぞれ2〜3時間照らします。そうすることで、朝が来たと勘違いして花が咲き、いちごが実ります。つける植物のこと原料価格の高騰による影響は大きいですね。最初は電気料金が上昇しただけでしたが、次に出荷するための資材にも影響が出始めました。一般的にはパック製品は石油製品で作られていますが、このように生産コストが増嵩するなかで、JA長崎県いちご部会が使用しているパックは植物性由来が原料で、環境にも優しい取組みを進めています。最近「はかる蔵」を導入しました。ハウスの中心にある白いボックスからスマホへデータが転送され、温度や湿度、二酸化炭素濃度、炭酸ガスの濃度、飽和度、水分量がスマホで見ることができます。いちごがおいしく育つためには、温度や湿度などの管理が絶対条件。温度と湿度のバランスを示す「飽差」がとても大切で、植物の呼吸や光合成に大きな影響を与えます。飽差を一定の範囲内に保てるよう管理していますが、時間帯や温度によって調整が必要となり、とても難しいです。「はかる蔵」を用いて各生産者のデータをJAや県で把握してもらうことで、データを蓄積し、収量を上げるためにお互いのまねっこをしようとしています。「今この人のハウスへ行くと、こういう管理方法を見られる」というのが一目で分かるのも、「はかる蔵」のメリットの一つだと思います。また、「テンションメーター」は、土の中の水分量を測り、潅水のタイミングを把握することができます。葉の周りのギザギザについている白い部分を「葉水」と言います。これは水分が十分に与えられている証拠で、溢液現象とも言います。1枚目の株だけでなく、3枚目の新葉の表面にも「葉水」があると更に良いですが、ない場合は「テンションメーター」を確認して潅水を行っています。 「はかる蔵」や「テンションメーター」などの環境制御システムにより、今まで以上に効率的に作業ができているので、新規就農者の方にも教えていきたいと思っています。現在は、関西を中心に関東や県内へ出荷しています。部会には22名が所属し、全体の作付面積は4・4㌶です。今までは部会員が減っても反収を増やすことが目標でした。しかし、多くの市場の方が西海ブランドのいちごに期待を寄せてくれているので、「いちご産地として頑張っていきたい」と思うようになりました。今後は西海ブランド継続に向けて、新規就農者へ私の知識や技術を教えることに力を注いでいきます!3枚目の新葉を確認「今年も良いいちごができました!」と森部会長環境制御システム「はかる蔵」高設栽培を行い、労力を軽減しています

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