新潟が産地になったのは、1902年に新潟県旧白根市茨曽根(現・新潟市南区)の農家の小池左右吉氏がロシア・ウラジオストクへ旅行した際、西洋なしに出会ったことがきっかけ。
そのおいしさから栽培を決意し、その後、原産地のフランスから数十種類の苗木を取り寄せて栽培を始めました。
生育においては日本梨と異なる点や病気に弱い点など苦労が多くありましたが、収穫されたル レクチエはとてもおいしく、その後、安定生産に向けて栽培技術を確立していきました。
豊かな甘みと芳香、なめらかな舌触りはル レクチエならでは。滴るような果汁や、とろけるような食感の秘密は「追熟」と呼ばれる作業によるものです。
温度管理や風通しなど気を遣う点が多く、それらは長い年月で培われた生産者たちの技術の結晶といえます。
そんな生産の難しさから、ル レクチエは「幻の洋梨」と呼ばれています。
旬は11月下旬から12月中旬頃。食べ頃の一歩手前で出荷されるので、購入後早めに食べるのがおすすめです。
新潟県産ル レクチエは主に、JA新潟かがやき(新潟市南区、新潟市江南区、新潟市西蒲区ほか)、JA新潟市(新潟市北区、新潟市江南区ほか)、JAえちご中越(加茂市、三条市ほか)、JA佐渡(佐渡市)で栽培しています。
日照時間や気温、肥沃な土壌など、新潟はル レクチエの栽培に適しています。
全国の西洋なし生産面積のうち、ル レクチエの割合はわずか約8%。そのうち新潟県での生産が約82%を占めます。(※)
(※)農林水産省:平成29年産特産果樹生産動態等調査より
1月~3月に剪定し、4月下旬~5月上旬に授粉作業、5~6月に摘果を行います。ル レクチエの場合、自らも実を落としますが、生産者が経験をいかしてさらに仕上げ摘果をします。
病気や害虫などの被害を防ぐとともに、日焼けから守るため、一つ一つの実に袋がけを行います。この時期はまだ実が小さいうえ、色が葉と似ているため作業は大変です。
たくさんのル レクチエをわずか3日程度で収穫。傷がつかないようにすべて手で丁寧にもぎ取ります。また、湿度から守るため作業は10月中旬〜下旬の晴れた日にしか行いません。
収穫後、温度・湿度、換気などに気を配りながら30~40日間保管。デンプン質が糖分に変化して甘くなります。食べ頃の一歩手前で出荷します。
収穫したばかりのル レクチエは、鮮やかな緑色。実もまだ硬く、このままでは甘さも香りもまだまだです。
収穫後20℃以下で保管することによって、より糖度が高まり、果肉もなめらかになります。これが“追熟”と呼ばれる大切な期間。
色合いも、きれいなブライトイエローへと変化していきます。
産地からは9割ほど追熟した段階で出荷されます。
ブライトイエローから、やまぶき色(完熟バナナの様な色)に変わります。
じくの部分が茶色く変色する場合がありますが、切り落として早目にお召しあがりください。
甘い香水のような芳醇な香りがしてきます。
手に持つとやや弾力のある感触になります。