営農情報

営農についての情報

稲作情報 記録的暑さは回避され、適切な管理で作柄・品質が期待できる
(2026年8月6日作成)

1.これまでの気象

 6月中旬から猛暑が続いた昨年と比べ、今年の梅雨期間中は梅雨らしい天候が続き、7月上旬まで平年並みの気温で推移しました。7月中下旬は猛暑となりましたが、8月になって関東地域にはオホーツク海高気圧から涼しい風が入っているため、気温は平年並みに落ち着いています。降水量は台風の影響等により6月が平年の176%、7月が136%と多く、利根川・荒川水系のダム貯水率は回復し、渇水の懸念は解消されています。

2.今後の気象予報

 8月5日発表の2週間予報によると、8月中旬までは気温は概ね平年並みで、昨年のような危険な暑さは回避されそうです。その後下旬にかけては再び高温が予想されますが、長期予報では9月の気温は概ね平年並みで、厳しい残暑は長引かないとしていることから、埼玉県内はここ数年のような記録的高温にはならないと考えられます。

図2 気象庁の2週間気温確立予測資料(熊谷)

3.水稲の生育状況

(1)早期栽培(4月中旬~5月初旬植えで8月収穫の稲)

 早期栽培は、5月の好天で生育は順調に進みました。入梅以降、曇天続きであったものの大きな影響を受けず、茎数をやや多く確保したまま、梅雨明けの高温で平年より2~3日早く出穂となりました。出穂から開花終了までの期間は高温でしたが、その後気温は落ち着き、今のところ登熟を阻害する要因はありません。

(2)早植栽培(5月上旬~下旬植えの稲)

 早植栽培は、全般的には初期生育良好で分げつの増加も早まりましたが、気温の上昇によりワキの発生による活着遅れや分げつの抑制も見られました。梅雨入り後は曇雨天が続いたため、中干しが十分にできないほ場が多く、分げつの切り上がりが悪く、葉が垂れ気味の軟弱な生育となりました。施肥量が多く葉色の濃いほ場では、葉いもちも散見されました。しかし、梅雨明けの高温で草姿は回復し、葉いもちも一部ほ場を除いて止まっています。コシヒカリ、彩のきずな、えみほころ等の中生品種は、概ね平年並みに出穂が始まりました。

(3)普通栽培(6月以降の田植えの稲)

 普通栽培は、高温による植え痛みは少なかったものの、梅雨入り後の曇雨天で、葉色の上がりや分げつの増加もやや緩慢となりましたが、梅雨明けの高温で急激な回復が見られています。

4.今後の生育予測

(1)早期栽培

 登熟中期にあたる8月前半の気温が平年並みに推移すれば、登熟は良好で高温による白未熟粒(腹白粒や基部未熟粒等)の発生は少ないと予想されます。また、イネカメムシの発生も少なく、広域防除も計画的に進められていることから害虫被害も軽減され、全体として作柄、品質ともに良好となることが期待されます。

(2)早植栽培

 出穂が始まっており、気象予報どおりに8月中旬まで平年並みの気温で推移すれば、良好な登熟が予想され、高温障害の発生も大幅に減少することが期待されます。梅雨時の曇雨天の影響で、分げつの切り上がりがやや悪かったため弱小穂が多くなる懸念もありますが、ここ数年来の高温障害ほどのマイナスの影響はないものと予想されます。

(3)普通栽培

 7月下旬の高温で生育が促進され、分げつがやや多く、幼穂の発育も平年並みです。今後気温が予報どおり推移すれば、出穂もほぼ平年並みと予想されます。

5.これからの技術対策

①出穂期における水管理(普通植)

 普通植栽培での主要品種の出穂予想日は以下のとおりです。出穂期前後10日間は可能な限り湛水して水を切らさないよう管理しましょう。

表1 主要品種の田植え時期別予想出穂期(県農技研開発の農作物発育予測アプリ「咲き玉くん」による予測)
品種名 6/ 1植 6/10植 6/20植 6/30植
彩のきずな 8/ 7 8/11 8/14 8/18
えみほころ 8/13 8/17 8/19 8/23
彩のかがやき 8/17 8/20 8/21 8/24

各品種とも、6/10植えまでは稚苗(葉齢2)、6/20植え以降は中苗(葉齢3~4)で予測

②開花終了後の水管理

 根の活性維持と、地温の上昇を抑えるために「間断灌水」や「飽水管理」を行いましょう。

③病害虫防除

 早植栽培の稲を中心に、紋枯病といもち病に注意しましょう。
 紋枯病は、多肥で過繁茂となっているほ場で多発します。上位葉が枯れるまで進展すると作柄にも影響するので注意して観察し、発病株が20%以上になったら防除が必要です。
 いもち病は、多くのほ場では梅雨明けの高温で止まっていますが、「えみほころ」等、いもちに弱い品種ではまだ進展しているほ場があり、穂いもちの発生も懸念されるため防除が必要です。
 斑点米カメムシについては、イネカメムシの発生は前年までと比べかなり減っていますが、県病害虫防除所の調査ではカスミカメ類やホソハリカメムシなどは多くなっています。斑点米の発生を防ぐため、出穂期とその10日後の2回防除を実施して下さい。

④適期収穫

 刈り取り時期は、ほとんどの品種が出穂期からの「積算気温1,000℃」を刈り始めの目安にできます。下表の「出穂時期別の予想収穫適期」を参考に作業スケジュールを立て、適期収穫を行いましょう。

表2 出穂時期別の予想収穫適期(積算気温1,000℃~1,100℃を刈り取り適期とした)
出穂期 7月20日 7月25日 7月30日 8月5日 8月10日 8月15日
収穫適期 8月24日
~28日
8月30日
~9月3日
9月5日
~9日
9月12日
~16日
9月18日
~22日
9月24日
~29日

 なお、「にじのきらめき」の収穫適期は、開発元の農研機構栽培暦によれば、積算気温1,100℃~1,200℃となっていますので、この表よりも3~4日程度遅くなります。