営農情報

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麦 (2022年1月14日作成)

 11月から12月中旬まで暖かい日が続き、麦の生育は進んでいましたが、年末からの寒波で気温が下がり、現在生育は停滞しています。ただし、寒さに耐えてじっくり育つほうが麦には良いので、いい天気になったといえます。
 これだけ寒くなると雑草も生えないと思いがちですが、麦畑に入ってじっくり観察すると、すでにいろいろな雑草が生えてきています。特に、今年は麦播種後の12月に2回、この時期としては大雨が降ったので、播種後処理した除草剤の効果は早く切れていると考えられます。麦や雑草の生育期に処理できる除草剤は各種ありますが、どんな除草剤も雑草が小さいうちに処理するほど高い効果が得られます。そこで今回は、麦にとって厄介な雑草を中心に、出芽間もない姿から種類を見分けるポイントをまとめてみました。

1.ヤエムグラ

 子葉は卵形~長楕円形で先がくぼんでいる。第1葉からは1節に4枚の葉が輪になって付く。除草剤の使用時期はこの節の数で判断する。4節期を過ぎると地際から分枝し始める。茎には下向きの刺があり、これが麦に絡みつき、多発すると収穫期に麦を倒したり、収穫作業の邪魔をする。適応除草剤の中ではエコパートフロアブルが6節期まで効果が高い。

2.カラスノエンドウ

 第1葉は線状の長楕円形。第2、第3葉も同形で、それ以降は卵形。茎は四角形で、冬期は赤紫色を帯びることも多い。葉の先が巻きひげとなって麦に絡みついて立ち上がり、多発すると麦を倒す。子実が麦に混入すると篩では選別できなくなる。適応除草剤の中ではアクチノールB乳剤の効果が高いが5葉期を過ぎると完全に枯死せず再生する個体も出てくるので早めの処理が有効。

3.ヤグルマギク

 子葉はへら状の楕円形。第1、第2葉は対生で長楕円形。葉数が増えると葉に鋸歯を生じ、白色の綿毛に覆われ白身を帯びる。冬期はロゼット状。観賞用で栽培されたものが麦畑に侵入して雑草化。多発すると麦の生育を阻害し、種(そう果)が麦に混じると篩で選別できない。適応除草剤の中ではアクチノールB乳剤、バサグラン液剤の効果が高い

4.ネズミムギ(イタリアンライグラス)

 葉は線形で麦より細く、無毛。葉鞘が暗紫色で小麦やカラスムギの緑色と見分けられる。新葉は葉鞘の中で巻いて出てくる。麦畑では発生後に有効な除草剤がないので、小さいうちに中耕や草掻きで除草する。

5.カラスムギ

 葉先はとがらず、左にねじれる(小麦は右ねじれ)。葉に光沢がない。葉身の基部にまばらに毛があり、葉鞘は淡緑色。麦畑では発生後に有効な除草剤がないので、小さいうちに中耕や草掻きで除草する。

6.スズメノテッポウ

 出芽初期の葉身は線状で細くとがる。成長すると葉身は平で、ねじれず、ややくすんだ緑色。葉鞘は紫紅色~茶褐色。茎、葉ともに柔らかく、全体が無毛。ハーモニーDFが卓効を示すが、抵抗性のあるタイプが増加しており、これには有効な除草剤がなく、中耕や草掻きで除草する。