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麦 (2022年2月18日作成)
2月に入っても霙や雪が降り、気温の低い日が続いています。乾燥は落ち着きましたが、麦の生育は引き続き抑制気味で、草丈は低く抑えられています。しかし、生育は着実に進み穂の発育も始まっています。2月中に必要な管理作業をしっかり行い、穂数確保につなげましょう。
1.収量確保には穂数確保が重要
小麦の収量は、大雑把に言うと㎡当たり穂数×1kg=10a当たり収量」になります。
10a当たり6~7Kgの播種量ですと、㎡当たりの苗立ち数(株数)は100~150本となります。そして1株で4~6本の穂が確保できれば㎡当たり穂数は600本となって、1反10俵が実現できます。
下の写真のとおり麦は5~6葉期(6~7枚目の葉が出てくる)頃には、穂となるのに必要な分げつの数はすでにできていますのでこれ以上の分げつは抑えて、この分げつを確実に穂にしていくことが多収のポイントになります。
主は主茎、数字は分げつを示す。合計で5本出来ている
播種は11月24日(2月17日撮影)
2.今後の天候と茎立ちの予想
1か月予報によれば2月いっぱいは引き続き気温が低く、晴れの日が平年よりも少ないようですが、3月になると気温は上昇し、平年並みから高めになり晴れの日も多くなると予想されています。
播種からこれまで(2月14日現在)の気温と、今後の気温予測から麦の茎立ち時期を予想すると表1のようになります。
表1 播種期と予想茎立ち期
播種期 | 麦種類 | 茎立ち期(予測) | 平年差 |
11月10日 | 小麦 | 3月13日 | 2日早い |
ビール麦 | 3月 2日 | 2日遅い | |
11月25日 | 小麦 | 3月23日 | 2日早い |
ビール麦 | 3月14日 | 平年並 |
3.麦踏みはいつまで
表1を参考に、11月中旬までの播種では小麦は3月10日まで、ビール麦は2月末日までに麦踏を完了させましょう。11月下旬播種で小麦は3月20日まで、ビール麦は3月10日までに麦踏を完了させましょう。茎立ち以降に麦踏みを行うと主茎や有効な分げつを折って穂数が減ったり、遅い分げつが出て出穂がばらついたりするので避けて下さい。
4.大麦への追肥
茎立ちまでに終わらせたい作業には追肥もあります。茎立ち期までの追肥は穂数や1穂の粒数確保に効果的です。また、葉色を保ち低タンパク麦になるのを予防できます。
11月中旬までに播種した大麦は2月末までに必ず追肥を行いましょう。ただし、ビール麦では昨年の品質評価カードで高タンパクの指導があったほ場では追肥は控えましょう。
小麦は3月に入ってから行いましょう。特に「さとのそら」は生育の後半に窒素の吸収量が多い特性があるので、茎立期と出穂2週間前の2回追肥で多収と品質向上を目指しましょう。
5.湿害対策を再点検
2,3月に湿害を受けると穂数が減少し、収量減少に直接結びついてしまいます。これからは春に向かって降水量も徐々に増えてきます。また、麦が茎立ちすると溝堀作業もやりづらくなるので2月中に完了させましょう。播種時期に設置した溝はもう一度点検し、排水に支障がないか確認しておきましょう。
障害物は取り除いておきましょう。