営農情報

営農についての情報

麦 (2022年5月19日作成)

登熟は順調で、収穫は平年並みと予想されます

これまでの経過

 3月、4月は、寒暖の変動が大きいものの気温は高く、降水量は定期的にまとまった雨で多くなりました。5月に入り、これまでのところ気温は平年並、雨はやや多くなっています。
 このことから、大麦、小麦とも遅れていた生育が回復して出穂期は平年並みになりました。
また、穂揃いが良く、遅れ穂は少なく、これまでのところ登熟も順調に進んでいます。なお、生育の旺盛なほ場では、降雨による倒伏も出始めていますが、一方で播種時期の降雨による湿害で苗立ちが悪かったほ場では穂数が少ないものも散見されます。

今後の予想

 5月12日発表の向こう1か月の気象予報では、気温、降水量ともほぼ平年並みとなっています。11月上旬播きのビール大麦は収穫期に入りました。そのほかの収穫期も表1のとおり概ね平年並みと予想されます。湿害等の被害を受けていないほ場では粒張りが良く、良好な作柄が期待できます。


 表1 播種期別予想成熟期
麦種類 播種期 本年 (参考)平年 (参考)前年
ビール大麦 11月10日 5月15日 5月16日 5月9日
11月25日 5月20日 5月20日 5月15日
小麦 11月10日 5月30日 5月29日 5月25日
11月25日 6月5日 6月5日 5月28日
 

米 (2022年5月19日作成)

家畜糞堆肥を上手に利用して肥料費の節減を

 原料価格の上昇などから、肥料価格の高騰が続いています。本年の肥料の準備はすでに済んでいるところですが、今後肥料費をいかに抑えるかは大きな課題です。そこで、肥料費節減に有効な家畜糞堆肥の利用について検討してみましょう。
 特殊肥料として届け出されている堆肥は窒素・りん酸・加里の含有量が記載されているので、施肥量を計算して利用することができます。

1.鶏ふん堆肥の利用例

基肥の窒素5kgのうち、5割(2.5kg)を鶏ふんで補う場合

  • 鶏ふんのN:P:Kは2.6:5.0:2.7
  • 稲1作で利用できるN:P:Kの割合は、60:70:90%
    (注)数値は県内で届出されている鶏ふん堆肥の平均的な値

 この条件から計算される必要な鶏ふんの量は10aあたり160kgとなります。
 残りの5割(窒素2.5kg分)に必要な化成肥料は、オール14なら10aに18kgです。
 また、鶏ふん160kgを入れるとりん酸を5.6kg、加里を3.9kg施肥したことになりますので基肥の化成肥料を窒素単肥にしてりん酸、加里を省略することもできます。仮に硫安を使うなら10aに12kgで足ります。

2.豚ぷん堆肥の利用例

基肥の窒素5kgのうち、5割(2.5kg)を豚ぷんで補う場合

  • 豚ぷんのN:P:Kは2.2:5.4:2.1
  • 稲1作で利用できるN:P:Kの割合は、50:70:90%
    (注)数値は県内で届出されている豚ぷん堆肥の平均的な値

 この条件から計算される必要な豚ぷんの量は10aあたり230kgとなります。
 残りの5割(窒素2.5kg分)に必要な化成肥料は、オール14なら10aに18kgです。
 また、豚ぷん230kgを入れるとりん酸を8.7kg、加里を4.3kg施肥したことになりますので基肥の化成肥料を窒素単肥にしてりん酸、加里を省略することもできます。仮に硫安を使うなら10aに12kgで足ります。

3.家畜ふん堆肥を利用する場合の留意点
  • 豚ぷんや鶏ふんの堆肥は窒素を基準にするとりん酸の施肥量が多くなります。連年施用するとりん酸が過剰に蓄積することになります。基肥を堆肥に代替えする割合は窒素施肥量の5割までとしましょう。
  • 乾燥鶏ふん堆肥は、化成肥料並みに早く効きだします。あまり早く施肥すると脱窒などで窒素分が消耗し、肥料効果が低下します。一方、田植直前に施肥すると分解でガスの発生する場合があります。施肥は田植の1週間前頃に行いましょう。
  • 乾燥豚ぷん堆肥は、鶏ふんよりやや肥効が緩やかで、2~3か月かけて分解していきますので、施肥は田植の1か月前頃に行いましょう。
  • 鶏ふん、豚ぷんとも副資材(籾穀、おがくずなど)が多いと分解は緩やかになります。肥料袋に記載されている内容(成分割合、資材の名称)を必ず確かめて使用して下さい。

その他の肥料費節減方法

1.高窒素のL型緩効性肥料(基肥一発肥料)の利用

 BBファイト(30-5-5)のような高窒素の基肥一発肥料は、窒素1kg当たりの価格は他の化成肥料とほとんど変わりませんが、緩効性肥料なので施肥量全体を2割程度減らしても慣行施肥と同等の効果が得られ、肥料費の節減になります。基肥一発なので追肥の手間もいらず、労働軽減にもなります。

2.側条施肥の導入

 側条施肥は良く知られている技術ですが、田植と同時に稲の側に施肥するので肥料の利用率が上がり、その結果施肥量を2割程度減らしても全面施肥と同等の効果が得られるので肥料費の節減になります。緩効性肥料と側条施肥を組み合わせると施肥量をトータルで3割程度節約することができます。