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稲:最も早い梅雨明け。高温に備え、被害の軽減を! (2022年6月27日作成)

6月27日、気象庁は関東甲信の梅雨明けを発表しました

 これまで最も早かった梅雨明けは平成30年(2018年)の6月29日でしたが、それよりも2日早い観測史上最速の梅雨明けとなりました。また、例年約40日間ある梅雨期間もわずか19日間と最も短くなりました。

予報では今後約一週間は猛暑が予想され、7月は70%の高い確率で高温の予報となっています

 これまでに最も梅雨明けの早かった平成30年には早期、早植えの稲で高温障害が多発し、1等比率はコシヒカリで31.5%、あきたこまちで22.2%に低下しました。

稲の生育段階に応じた適切な肥培管理を行って、被害の軽減に取り組みましょう

早期栽培(5月初旬までの田植)

 例年、7月20日頃から出穂となることから、まもなく幼穂形成期に入り、穂肥の時期となります。最も水を必要とする時期に入るため水管理に注意しましょう。土の畦畔はザリガニ等の小動物の穴からの漏水が良く見られます。水持ちを良くするために畦畔の補修を行いましょう。また、入水は夜間や早朝の水温が低い時間帯に行うようにしましょう。
 穂肥は、稲の栄養状態を健全に保ち米の品質確保にも大切な作業です。出穂の18~15日前に必ず行いましょう。1回の穂肥で葉色が回復しない場合は、出穂10日前(穂ばらみ期)にも追肥を行いましょう。なお、高温になると基肥一発肥料でも早く溶出して肥効が不足することがあります。葉色が出ない時は追肥を行い、品質低下を防ぎましょう。

早植栽培(5月中・下旬の田植)

 中干しの時期に入っています。例年、梅雨時の雨で中干しが十分できない地域が多いですが今年は干し過ぎに注意が必要です。田面に大きなひび割れがたくさんできるような過度の中干しは、稲の根を必要以上に傷め、高温被害を助長してしまいます。中干し期間中でも入水が可能な地域では走水で干し過ぎを抑えましょう。堰を止めて完全に落水期間を設けている地域でも一時的に水利用が図れるような取り組みが望まれます。
 また、高温でコシヒカリ、キヌヒカリ、彩のきずなは幼穂の分化が早まり、穂肥の適期が前倒しになると予想されます。田植から45~50日目には穂の発育を観察して、穂肥が遅れないよう注意しましょう。

普通栽培(6月以降の田植)

 6月上旬植えは分げつ発生盛期、6月中・下旬植えは活着期に入っています。高温による麦わら等の分解でガスが発生したり、藻類、表層剥離などが多発し、稲の生育が阻害されることが予想されます。藻の発生が多いほ場ではできるだけ早く藻類に有効な除草剤を散布しましょう。還元化によりガスが発生したほ場ではいったん落水して田面を軽く乾かし、ガスの発生を抑えて被害を回避しましょう。
 また、高温になると雑草の生育も早くなります。使用基準内での早めの処理が除草効果を高めます。
 なお、水稲は分げつの発生が早く、旺盛になることから中干しの適期も早まると予想されます。田植から1か月を目途に中干しに入りましょう。