営農情報

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水稲 (2022年7月25日作成)

 梅雨の戻りのような天気も終わり、いよいよ本格的な暑さの到来です。これから8月中旬までの期間は、平年でも日平均気温が27℃を越え、米の品質に影響が出るほどの暑さになります。
 すでに7月20日以降、平均気温は27℃を越えていて、予報では8月、9月も平年よりも高温になると予想されています。
 高温による玄米の品質低下を防ぐため、稲の生育段階に応じた対策に取り組みましょう。

1 高温障害発生の危険性

 玄米が白く濁る「乳白粒」は、日平均気温27℃以上の日が出穂から20日間続くと多くなることが知られています。埼玉県(熊谷市)は、7月26日から8月19日までの約25日間、平年でも日平均気温27℃を越えます(図の緑のライン)。気象庁の7月21日発表の1か月予報では、8月15日頃まで日平均気温が28℃を越えると見込まれるため(黒のライン)、今年は高温障害発生の危険度が非常に高いと考えられます。

2 稲の生育ステージに応じた高温対策に取り組みましょう

(1)出穂期から登熟期初期の稲

 高温による被害を最も受けやすい時期です。また稲の一生で最も水が必要な時です。開花が完全に終わるまでは水を切らさないで下さい。特に今年は梅雨明けが早く、その後猛暑日が連続したことで中干しが強すぎるほ場が見られます。ひび割れの大きなほ場は水持ちが回復するのに日数がかかるので、水回りを丁寧に行って下さい。
 開花が終わったら今度は間断潅水に切り替えましょう。稲が猛暑に耐えるには根の力が必要ですが、登熟期になると根は老化していきます。根に酸素を供給して老化をできるだけ抑え、活力を維持する管理を心掛けましょう。止水は、水温を上げ、酸素不足による根の老化を早めるので、絶対にやめましょう。

(2)幼穂形成期から穂ばらみ期の稲

 幼穂形成期を確認したら穂肥を実施しましょう。高温で葉色は急速に低下してきています。穂肥によって稲の栄養状態を健全に保ち、穂への養分の転流を促しましょう。1回の穂肥で葉色が回復しなかった場合は、10日程度あとに2回目の穂肥をいれるのも玄米品質の低下を軽減するのに効果的です。また、基肥一発肥料の場合でも中干し以降、葉色が上がらず、葉色が低下したままの場合、追肥を行う必要があります。
 穂ばらみ期(出穂10日前)に入ったら深水にしましょう。ここから出穂・開花が終了するまでは夜間や早朝の水温の低い時間帯にフレッシュな水を取り入れてしっかり貯めましょう。

(3)中干し期の稲

 干し過ぎに注意しましょう。ひび割れが大きすぎると稲の太い根まで必要以上に切断してしまいます。そうなると回復に時間がかかるため、後々高温被害を助長してしまいます。猛暑の時こそ、田面に小ヒビが入り靴のかかとが1cm程度沈むくらいの硬さで中干しは終了して下さい。中干し後は間断潅水に切り替え、穂肥の準備を行いましょう。