営農情報

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麦の生育状況と今後の作業について (2023年2月18日作成)

 今年は、年明け以降寒暖の変動が大きく、麦の生育も早まったり足踏みしたりしていますが、体の中では穂の分化が始まっています。これから茎立ちまでの期間が管理作業の重点期間となるので、しっかりと作業を行って豊作につなげましょう。

1.気象経過と麦の生育

 1月は旬ごとに気温の変動が大きく、中旬は3月並みの高温で生育が促進しましたが、下旬は寒波の襲来で低温になり、生育は停滞しました。しかし、2月に入り再び高温になり生育は回復しています。

 11月播きの麦は、大麦、小麦ともに1月の寒波で一時的な停滞はあったものの、現在は平年よりもやや早く進んでいます。茎数もすでに十分な数が確保されて、幼穂(穂の発育初期の段階)の分化が始まっています。

 12月播きの麦は、大麦、小麦ともにまだ生育は小さく、分げつも発生し始めたところです。11月播きよりも10日程度の遅れとなっています。

2.今後の天候と生育の予想

 2月16日発表の向こう1か月の予報によれば、気温は平年よりも高く、降水量と日照時間は平年並みの見込みです。また、3か月予報でも気温の高い傾向が続くと思われます。
 このことから、11月播きでは、大麦、小麦ともに生育は促進され、分げつは過剰気味となり過繁茂ぎみになると思われます。これに併せて、茎立ち時期も平年より早まることが予想されます。
 11月25日播きの麦について、予想される茎立ち期は表1のとおりです。

 12月播きも、分げつの発生盛期となり、平行して穂の分化も始まります。生育は早まり11月播きと比較した生育の遅れは7日程度になると推定されます。

3.これから実施すべき作業

(1)麦踏み <いつまでに終了するか>

 11月播きの麦は、多くなった分げつを切り落とすために強めの麦踏みを行いましょう。小麦では3月10日頃までに、ビール麦は2月末日までに作業は完了させましょう。
 12月播きの麦は、11月播きより茎が細く、また茎の節の数が少ないのに草丈は同じ程度に高くなるので倒れやすくなります。これを防止するために、これからの麦踏みはとても重要です。また、11月播きよりも茎立ちは5~7日程度遅くなるので、あと2回麦踏みを行いましょう。作業の終了時期はおおよそ小麦が3月20日頃、ビール麦が3月10日頃になる見込みです。

(2)追肥 <時期はいつ頃か>

 11月播きの麦では、茎立ち前の追肥は穂数や1穂の粒数確保に効果的です。また、葉色を保ち低タンパク麦になるのを予防できますので、必ず実施しましょう。大麦は2月末までに、小麦は3月10日までに行って下さい。
 ただし、ビール麦は、品質評価カードで高タンパクの指導があったほ場については追肥は控えましょう。また、小麦「さとのそら」は生育の後半に窒素の吸収量が多い特性があるので、茎立期前と出穂2週間前の2回追肥で多収と品質向上を目指しましょう。
 12月播きの麦への追肥は、小麦、大麦ともに倒伏の原因になるため基本的に行いません。ただし、茎立ち期頃に葉の色が黄色くなり、その後も回復しないようなら4月の出穂前追肥を行いましょう。この時期なら草丈の伸びを助長することなく、粒を大きく充実させ、タンパクの向上が期待できます。

(3)湿害対策 <今すぐ取り組む>

 最近は2月や3月にまとまった雨が降るようになっています。この時期に湿害を受けると穂数が減って、収量減少に直接結びついてしまいます。麦が茎立ちするとトラクタでの溝堀作業もやりづらくなるので、まだ対策を行っていないほ場はすぐに排水溝を掘りましょう。また、すでに設置してあるほ場も、溝が埋まっていないか、排水口につながっているかをもう一度点検しておきましょう。