営農情報

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「麦」「水稲」 (2023年3月14日作成)

1.5年産麦の生育と今後の管理

2月が高温であったことから、麦の茎立ちは早まっています
追肥など最後の管理作業を完了させましょう

 寒暖の変動が大きかった1月を経て、2月は気温が平年よりも約1℃高く推移し、3月に入ってより高く推移しています。一方、雨は少なく乾燥した状態が続いています。
 このことから、3月に入り麦の生育は促進し、草丈が伸び、幼穂の発育も早くなっています。
 10月播きのビール大麦は出穂が始まっており、11月播きのビール大麦の茎立ちは平年よりも一週間程度早く、3月早々に始まりました。小麦も3月8日頃から茎立ちが確認されています。
 12月播きもここにきて株が立ち上がり分げつは急速に増加しています。ただし、深播きのほ場ではビール大麦、小麦ともに分げつは少なく、かつ軟弱な傾向です。

2.今後の天候と生育の予想

 3月9日に気象庁が発表した今後1か月の予報では、4月上旬まで気温の高い状態が続き、降水量、日照時間は概ね平年並みと見込まれるため、小麦、大麦とも播種時期に関わらず生育はさらに促進すると考えられます。
 11月25日播きの麦で予想すると、大麦では3月25日から出穂が始まり、出穂期は3月28日頃、小麦では4月1日頃から出穂が始まり、出穂期は4月5日頃と見られます。
 12月播きでは、大麦の茎立ちが始まったところであり、小麦の茎立ちは3月15日頃からと予想されます。

3.これからの作業

(1)麦踏み

 すでにほとんどの麦は茎立ちしており、麦踏は終了となります。

(2)追肥

 すでにほとんどの麦は茎立ちしており、茎立ち前追肥は終了となります。今後、穂孕み期にかけて葉色が急に低下するようであれば、窒素成分1~2kgを穂孕み期に施用します。小麦「さとのそら」については穂孕み期追肥は有効なので積極的に実施しましょう。

(3)湿害対策

 3月以降はまとまった雨が降ることがあります。これからの湿害は根の活性を低下させ、養分欠乏を招いて穂数の低下につながります。排水路の点検を必ず行いましょう。

 

4.水稲の基肥に鶏ふんを利用する場合の留意点

 化学肥料の高騰や米価の低迷から、生産費を抑制するための方策として家畜ふん堆肥の利用が期待されています。中でも鶏ふん堆肥は、家畜糞堆肥の中で最も窒素肥効が高いことから注目されています。しかし、その特性をきちんと理解した上で使用しないと期待する効果が得られません。そこで、鶏ふんの水稲の基肥に利用する際の留意点についてお知らせします。

 鶏ふん堆肥の窒素含量は、採卵鶏か肉用鶏かの違いや、堆肥化する期間等によって異なりますが、窒素含量が高いほど肥料効果は大きくなります(図3)。しかし、窒素含量の高低に関わらず窒素成分が無機化するのが早く、それも気温が高くなるにつれて早くなります(図4)。

 無機化した窒素(アンモニア態窒素)は、乾いた水田の中で微生物によって硝酸態窒素に変化します。硝酸態窒素は、田んぼに水が入ると地中に下がり、そこで細菌(脱窒菌)によって窒素ガスになってしまい、大気中に飛散(脱窒)してしまいます。
 図2のように、4月に鶏ふん堆肥をほ場にすき込んだ場合、30日で窒素含量のおよそ50%が無機化(アンモニア態窒素)します。入水するまでの期間が長いほど鶏ふんの窒素は無機化が進み、入水で脱窒してしまうので稲が吸収できる窒素は少なくなっていきます。
大規模経営では、作業分散のために田植よりもかなり前から鶏ふんの散布を行う事例があります。すると上記のような作用で期待したような窒素肥料効果が得られなくなりますので、投入時期はできるだけ入水・田植の近く(7日~10日前)にするよう作業計画を立てましょう。また、肥料効率も使用する鶏ふんの窒素含有量によって異なるので肥料袋の記載内容をよく確認して、投入量を算出しましょう。