営農についての情報
水稲(2023年9月6日作成)
高温の時こそ、適期の刈り取りが重要です。
刈り遅れだけは絶対に避けましょう
観測史上最も高温となった今年の夏は、出穂からの成熟(登熟)するスピードが速まって、刈り取り時期が早くなっています。災害級の暑さで米の品質への影響は避けられないところですが、これから刈り取り時期になる稲については、これ以上の品質低下にならないよう適期収穫を励行しましょう。
1.米の品質への影響
今年の7月、8月の月平均気温はそれぞれ28.9℃、29.7℃でいずれも観測史上最も高温になりました。水稲は、出穂から20日間の日平均気温が27℃を越えると、米が白く濁る(白未熟粒)の発生が増加します。今年は、過去に品質の低下が顕著だった2010年、2020年に匹敵するほど高温期間が長く続き(図1)、品質への影響は避けられない状況になっています。

2.刈り遅れは絶対に避けましょう
高温で稲の登熟は促進され、例年通りのスケジュールで収穫日を決めたり、穂の色づき具合だけで刈り取り時期を決めると刈り遅れになります。高温下で刈り遅れると白未熟粒や茶米の増加、胴割れ粒の発生の原因になります(写真参考)。
暑い年には、出穂期(5割の穂が出た日)からの「日平均気温の積算値」を刈り取り開始の指標にするのが有効です。主要な3品種について、田植日と出穂日から刈り取り開始時期を予測すると表1のようになります。これを参考に刈り遅れにならないよう作業の準備を進めて下さい。
なお、刈り取り開始時期になっていても籾の水分が30%以上では、コンバインの詰まりの原因や収穫した籾の乾燥が遅滞した場合の発熱による変質、また燃油を余分に使用することになるので注意して下さい。
表1 品種別の刈り取り開始時期の目安
品種名 | 田植日 | 出穂期 | 収穫開始期 | 同左積算気温 | 参考)登熟日数 |
彩のきずな | 6月1日 | 8月4日 | 9月5日 | 945.1 | 32日 |
6月5日 | 8月6日 | 9月7日 | 935.7 | 32日 | |
6月10日 | 8月9日 | 9月11日 | 956.1 | 33日 | |
6月15日 | 8月11日 | 9月13日 | 951 | 33日 | |
6月20日 | 8月13日 | 9月16日 | 972.4 | 34日 | |
6月25日 | 8月16日 | 9月20日 | 976.9 | 35日 | |
コシヒカリ | 6月1日 | 8月5日 | 9月8日 | 992.3 | 34日 |
6月5日 | 8月7日 | 9月11日 | 1012.4 | 35日 | |
6月10日 | 8月10日 | 9月14日 | 1007.4 | 35日 | |
6月15日 | 8月12日 | 9月16日 | 1001.2 | 35日 | |
彩のかがやき | 5月20日 | 8月11日 | 9月12日 | 924.1 | 32日 |
5月25日 | 8月13日 | 9月14日 | 918.9 | 32日 | |
6月1日 | 8月15日 | 9月18日 | 938 | 34日 | |
6月5日 | 8月16日 | 9月20日 | 976.9 | 35日 | |
6月10日 | 8月18日 | 9月24日 | 1003.5 | 37日 | |
6月15日 | 8月20日 | 9月27日 | 1006.4 | 38日 | |
6月20日 | 8月21日 | 9月29日 | 1017.5 | 39日 | |
6月25日 | 8月23日 | 10月2日 | 1019.7 | 40日 |
3.稲わらや刈り株は出来るだけ早くすき込みましょう
稲わらを分解する微生物は気温が高く、土がまだ湿っている時ほど活発に活動します。
稲刈りが終わったらできるだけ早くすき込むのが一番効率的な藁の処理方法です。
稲わらは完全にすき込まなくても大丈夫。粗くても土がかぶっていれば微生物は活動し分解します。
さらに、台風等による大雨で藁が風下に堆積するのを防いだり、クログワイやオモダカ等の塊茎で増える雑草が秋に塊茎を増やすのを抑える効果もあるので、早めの耕耘を実施しましょう。
