営農情報

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麦播きシーズン到来!作業を開始しましょう(2023年11月8日作成)

播種の適期は、11月下旬です。

 冬の気温が高い傾向が続いています。気象庁の季節予報によれば今年も暖冬が見込まれています(図1)。

図1 関東甲信地方3か月予報(10月24日発表の気象庁HPから抜粋)

 気温が高いと麦の生育は促進されます。
 従来、適期とされた11月10日頃に播種すると、暖冬下では1月中にほ場が青々と見えるほど麦が生育して過繁茂になり、その結果早く肥料切れを起こしてしまいます。また、茎立ちがビール大麦では2月中旬頃、小麦では3月10日頃になり、時折発生する低温で「凍霜害」の危険も増します。
 これに比べ、近年の暖冬下では11月下旬に播種するほうが1~2月の過繁茂が抑えられ、肥料切れを起こすことなく茎立ち期の追肥につなげることができます。表1の県農業技術研究センターによる3か年の調査結果からも11月下旬播きは11月10日播きよりも小麦では穂が大きく(1穂粒数が多く)、粒が大きい(千粒重が重い)ことで、ビール大麦でも穂数が多く、粒が大きい(千粒重が重い)ことで多収になっています。

 また、図2のとおり11月下旬播きにしても出穂期や成熟期の遅れはわずかで、昔の11月10日よりも刈り取り時期は同等かやや早くなっているので、水稲の作業にも影響はありません。

適期に播くために排水対策は必須です

 近年は、気温の高い傾向とともに播種時期の11月にまとまった雨が降ることが増えています。また、ほ場を乾かす強い西風が吹くことも少なくなってきているので、排水の悪いほ場はなかなか乾かず、播種作業が遅れたり、出芽不良原因となっています。 これら被害を回避するために額縁明渠を設置し、雨が溜まらないようにしておきましょう。
 播種が終了したら除草剤を撒く前にほ場の中にも明渠を掘り、生育期の湿害対策も行いましょう。

播種は品種にあった適量を適度の深さで播きましょう

 播種量は、多すぎると茎が伸びて、細くなり倒伏につながり、少なすぎると穂数不足につながります。適量を播いて良い出芽をいるには、深播きは絶対にしないこと、播いたあとに軽く鎮圧することがポイントです。出芽が揃うことが生産安定につながります。


 表2 品種ごとの適正播種量
麦の種類 品種 播種量
六条大麦 すずかぜ 5~6kg/10a
ビール大麦 彩の星 5~6kg/10a
小麦 さとのそら
あやひかり
6kg/10a
8kg/10a

※麦の適正な播種深は2~3cmです。

播種後の除草剤は出来るだけ早く散布しましょう

 雑草防除は、播種後の土壌処理が最も効果的です。除草剤によっては雑草の発生始めや、イネ科雑草1葉期まで適応できるものがありますが、耕耘整地から麦播種までに間があき雑草の生育が早くなった場合や、雨で散布作業が遅れたりすると、防除適期を逸して雑草を抑えられなくなります。除草剤は播種後できるだけ早く散布しましょう。


 表3 麦用除草剤の一例
薬剤名 麦種類 使用時期
キックボクサー細粒剤F   a 小麦(秋播)・大麦(秋播) 播種後出芽前(雑草発生前)
クリアターン乳剤・細粒剤F b 小麦・大麦 播種直後(雑草発生前)

ゴーゴーサン乳剤       b

小麦 播種後(雑草発生前)~小麦2葉期(イネ科雑草1葉期まで)
麦類(小麦を除く) 播種後出芽前(雑草発生前)
ゴーゴサン細粒剤F     b 麦類 播種後出芽前(雑草発生前)
ボクサー乳剤        a 小麦 秋播栽培の播種後~麦2葉期(雑草発生前~発生始期)
大麦 秋播栽培の播種後~麦2葉期(雑草発生前~発生始期)
ムギレンジャー乳剤      a 小麦・大麦 秋播栽培の播種後出芽前(雑草発生前)
リベレーターG(粒剤)   a,b 小麦(秋播)・大麦(秋播) 播種後~麦2葉期(雑草発生前~イネ科雑草1葉期まで)
リベレーターフロアブル   a,b 小麦・大麦(秋播) 播種後~麦3葉期(雑草発生前~イネ科雑草1葉期まで)

注1)使用基準は、令和5年11月5日現在
注2)各薬剤名の後のaは除草剤抵抗性スズメノテッポウ、bはカラスノエンドウに効果的であることを示す