営農情報

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良質麦生産のための今後の管理 (2024年3月13日作成)

2月中旬の高温で生育は早くなりました

 1月から気温の高い状態が続き、特に2月中旬は平年の2倍程度の極端な高温となりましたが、2月下旬以降平年並からやや低く経過しています。雨は一度にまとまって降る傾向で、2月下旬以降やや多くなっています。

 麦の生育は、2月中旬の高温が大きく影響し、11月上旬の早播きの麦の茎立ちは、ビール大麦で10日程度、小麦で1週間程度平年よりも早くなりました。11月下旬播きの麦の茎立ちもビール大麦、小麦とも5日程度早くなりました。

3月の寒さで生育はやや足踏み、出穂期もばらつきそうです

 3月は寒暖の変化が大きく、気温は平年並~やや低い日も多いと予想されます。このため各麦類の生育は、高温であった昨年のように早まらず、じっくりと進む見込みです。
 茎立期から出穂までの期間を気温の積算値で予測すると、各麦類の出穂期は表1のようになります。
 ビール大麦では、茎立ちがかなり早かった早播き(11月10日播)で平年よりも5日程度早まると予想されますが、適期播き(11月25日播)は過去3年間の平均よりも3日程度、高温であった前年と比べ7日程度遅くなると予想されます。
 小麦では、早播き(11月10日播)で平年並、適期播き(11月25日播)では過去3か年の平均よりも2日程度遅く、高温であった前年と比べ5日遅くなると予想されます。

病害虫防除の徹底と管理作業の完結を

①赤かび病の防除

 昨年、岩手県産の小麦で赤かび病から産出される「かび毒(デオキシニバレノール)」が基準値を上回って検出され、大きな問題となりました。かび毒に汚染された麦は施設集荷ができません。また、施設で混入・感染すれば甚大な被害につながりますので、改めて「赤かび病」防除の徹底をお願いします。
 各麦類の赤かび病防除適期は表2のとおりです。現時点で予想される各麦類の出穂時期(表1)から、本年の赤かび病の防除適期はビール大麦で4月10日頃から、小麦で4月15日頃からと予想されます。

 赤かび病は、麦の開花時期に気温が高く(20℃以上)、湿度も高い日が続くと、病原菌である胞子の飛散が盛んになって発病が増加します。埼玉県の気温は、4月中旬になると平年値でも最高気温が20℃を越えるようになっています。早めの散布作業計画を立て、適期散布を励行しましょう。

②小麦の追肥

 小麦「さとのそら」への追肥は、表1を参考に出穂の2週間前に窒素成分で3~4kg/10aを施用しましょう。「あやひかり」は原則、茎立ち前に追肥を行いますが、実施できていないほ場では「さとのそら」と同時期に窒素成分で2kg/10aの追肥を行いましょう。また、両品種とも、茎立ち前に追肥を行ったほ場でも出穂2週間前に葉色が落ちてくるようであれば、窒素成分で2kg/10aの追肥を行いましょう。

③湿害対策

 2月下旬以降、降雨日が多くなり一度にややまとまって降っています。これからの時期に湿害を受けると根腐れや養分吸収の減退等により粒重の低下や加工品質の低下につながります。雨が滞水せず速やかに排出できるよう、もう一度排水用明渠の状態を確認し、補修しておきましょう。