営農情報

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麦の出穂が始まりました
赤かび病を適期に防除しましょう (2024年4月5日作成)

3月の低温で生育はやや足踏み 昨年よりも出穂は遅くなっています

 1月以降気温は高く経過し、特に2月中旬はかなりの高温となりましたが、一転して2月下旬以降3月末まで平年並~やや低温に経過し、記録的高温となった前年と比べ3月の平均気温は4℃程度低くなりました。
 降水量は2月までは月合計で平年並みでしたが、3月以降曇雨天の日が多く特に3月末は菜種梅雨により降水量が多く、月合計で平年の2倍と多くなりました。

 このため、小麦、大麦ともに2月までは生育が進んでいたものの、3月に入って足踏みしました。
 ビール麦は、11月上旬播きが3月20日頃から出穂が始まり、現在穂揃期~開花期となっていますが、この播種期を中心に3月下旬の低温の影響で小穂凍死が発生しています(写真1,2)。
 発生の多いほ場では被害穂率は2~3%で、穂の先端や半分が凍死しているものが見られます。作柄全体に影響を及ぼすほどのものではありませんが、赤かび病の感染を助長する場合があるので注意が必要です。
 11月下旬播きは、3月末に出穂が始まり現在出穂期です。概ね平年並みの早さですが、ここ数年と比較すると2~3日程度遅い出穂となりました。この時期の麦には11月上旬播きのような障害は発生していません。

 小麦は、11月上旬播きで間もなく出穂が始まり、11月下旬播きで穂ばらみ期に入っています。いずれも概ね平年並みの進み具合ですが、ここ数年と比較すると3~4日程度遅くなっています。
 小麦では大麦のような凍霜害は発生していませんが、葉色の濃いほ場では上位葉が幅広で長く垂れ、軟弱な生育となっています(写真3)。
 また、3月以降雨が多いため、排水の悪いほ場や滞水し易い部分での湿害(写真4)が発生し、これらほ場では穂数の大幅な減少が見込まれます。

赤かび病等病害虫の適期防除を実施しましょう

 4月は気温が高く、降水量は平年並みの予報となっていますので、赤かび病、うどんこ病等の発生が予想されます。特に凍霜害を受けたビール麦や過繁茂で軟弱な生育の小麦では発生が助長されると考えられるので、防除適期に必ず薬剤散布を行いましょう。

表1 播種期別の出穂期と赤かび病防除適期のめやす
播種期 麦種類 出穂期※ 赤かび病防除適期
11月上旬
(11月10日播)
小麦 4月9日前後 4月15日~18日
ビール麦 3月24日前後 4月4日~7日
11月下旬
(11月25日播)
小麦 4月14日前後 4月20日~23日
ビール麦 4月2日前後 4月12~15日
※小麦の出穂期は予測日、ビール麦は観測結果


表2 麦類赤かび病の麦種類別防除適期
麦種類 薬剤散布適期
小麦 ①出穂から7~10日後の開花始~開花期に散布
②その後、雨が続いた場合は10日後に追加の散布
二条大麦 ①出穂期の12~14日後で穂から葯が出た時
六条大麦 ①出穂期から3日後頃で開花を確認した時


表3 赤かび病、うどんこ病、赤さび病に有効な農薬の例
【 大 麦 】
薬剤名 適用病害名 希釈倍数 散布水量 使用時期・回数
トップジンM水和剤 赤かび病 1000~1500倍 60~150リットル 収穫30日前まで
・3回以内
(出穂期以降1回以内)
うどんこ病 1000~2000倍
チルト乳剤25 赤かび病 1000~2000倍 60~150リットル 収穫21日前まで
・1回
うどんこ病 2000~3000倍
シルバキュアフロアブル 赤かび病 2000倍 60~150リットル 収穫14日前まで
・2回以内
うどんこ病

【 小 麦 】
薬剤名 適用病害名 希釈倍数 散布水量 使用時期・回数
トップジンM水和剤 赤かび病 1000~1500倍 60~150リットル 収穫14日前まで
・3回以内
(出穂期以降2回以内)
うどんこ病 1000~2000倍
チルト乳剤25 赤かび病 1000~2000倍 60~150リットル 収穫3日前まで
・3回以内
うどんこ病 2000~3000倍
赤さび病 1000~3000倍
シルバキュアフロアブル 赤かび病 2000倍 60~150リットル 収穫7日前まで
・2回以内
うどんこ病
赤さび病

【麦 類】(小麦、大麦に使用可)
薬剤名 適用病害名 希釈倍数 散布水量 使用時期・回数
トリフミン水和剤 赤かび病・
うどんこ病
1000~2000倍 60~150リットル 収穫14日前まで
・3回以内
令和6年4月1日時点の登録内容で掲載してあります
無人航空機による散布等は別途使用基準を確認して下さい

今年の稲づくり スタートのポイント (2024年4月5日作成)

芽出し日数に注意しましょう

 高温の年にとれた種籾は「休眠が深く」なり、浸種してから出芽までの時間が長くなる傾向があります。
 令和5年産の県産種籾は、猛暑の中で収穫となったため例年よりも浸種してから芽切るまでの日数が長くなると予想されます。いつもより半日~1日程度長めの浸種期間を取るようにしましょう。

肥料を早く撒き過ぎないようにしましょう

 春作業を分散させる目的で、大規模経営等で肥料を早く撒く傾向が見られます。しかし、肥料は田んぼに施した時点から分解して溶け出しますので、施肥から田植までの期間が長くなるほど分解が進み、ロスが多くなってしまいます。施肥はできるだけ田植前1週間以内に施肥するようにしましょう。
 早播きでロスするのは緩効性肥料も同じです。早く施肥すると肥効期間が短くなります。高温の年にはそれが助長されてしまいます。品種にあった銘柄をきちんと施肥したにも関わらず肥切れが早いと感じるのは施肥が早すぎるのが原因かもしれません。施肥時期を見直してみましょう。

イネカメムシの発生にも注意し、必ず防除しましょう

 稲穂を加害するカメムシが多くなっています。中でも稲を好んで吸汁する大型の「イネカメムシ」の発生地域が拡大し、被害が大きくなっています。6月下旬頃から田んぼに飛来するので注意深く観察し、出穂期~穂揃い期に必ず薬剤を散布して下さい(粒剤の場合は、出穂始めに散布)
 詳しい資料は、県農林部農産物安全課HPに掲載されていますので、参考にして下さい。

 イネカメムシについて - 埼玉県 (saitama.lg.jp)
また、最新の発生情報は県病害虫防除所HPで確認して下さい。
 https://www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/b0916/