営農情報

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水稲
今年は「高温対策」と「イネカメムシ防除」が最重要です(2024年7月9日作成)

Ⅰ 気温が高く、稲の生育は進んでいます

 4月が記録的な高温で5月も気温の高い傾向が続きました。6月以降もこれまで平年よりも2℃程度高く経過しています。このため、早期から麦後まで、いずれの時期の稲も生育は早く進んでいます。
 早期栽培:コシヒカリ(5月1日植)は、平年よりも5日程度進んでおり、現在穂ばらみ期に入っています。
 早植栽培(5月中下旬植):草丈が高く、茎数も多くなっています。梅雨入り後も晴れの日が多く中干しは十分に実施でき、葉色も低下し穂肥の準備が整ってきました。
 普通栽培(6月以降植):茎数が急速に増加し、上旬に植えたものはすでに有効茎が確保できています。麦後も旺盛な生育を示しています。

Ⅱ 今年の夏も猛暑の予報です

 梅雨明けはやや遅れると予想がされていますが、梅雨入りが二週間程度遅れたため梅雨期間は短くなりそうです。梅雨明け後は太平洋高気圧とチベット高気圧の二つの高気圧の影響で、記録的猛暑になった昨年に匹敵する暑さになると予想されています。

Ⅲ 出穂は早まります

 高温によって昨年と同等かそれ以上に出穂は早まると予想されます。水管理や穂肥、病害虫防除などの作業は適期を逸しないよう注意しましょう。

田植え時期別の出穂予想日と穂肥の適期
田植時期 品種 幼穂形成期※ 出穂期 穂肥適期
5月1日 コシヒカリ 6月26~27日 7月20日頃 7月2~5日
5月20日 彩のかがやき 7月18~19日 8月10日頃 7月17~19日
コシヒカリ 7月7~8日 7月30日頃 7月13~16日
6月5日 彩のかがやき 7月23~24日 8月15日頃 7月23~24日
彩のきずな 7月14~15日 8月7日頃 7月14~15日
6月15日 彩のかがやき 7月25~26日 8月18日頃 7月25~26日
彩のきずな 7月17~18日 8月10日頃 7月17~18日
6月25日 彩のきずな 7月23~24日 8月15日頃 7月24~25日

Ⅳ とにかく高温対策とイネカメムシ防除を徹底しましょう

(1)高温対策 「必ず穂肥を入れましょう」

 高温による肥料切れが白未熟粒増加につながります。稲の葉色から適切な穂肥を施用して被害の軽減に努めましょう。

  • 葉色が早く落ちてきたら穂肥の前に追肥
    田植え後30日程度の時期に、田んぼの葉色が4.0(葉色カラースケール)以下になるようであったら、窒素成分で10a当たり1~2kgの追肥を行いましょう。
  • 穂肥は葉色で調整します
    穂肥の適期に葉色が4.0以下になっていれば、窒素成分で10a当たり3kg/10a程度を必ず施用しましょう。
    適期に葉色が4.0以上であった場合、数日遅らせて葉色が4.0になってから施用しましょう。遅らせても葉色が下がらないときは穂肥を半量に減らしましょう。
    穂肥を入れても葉色が上がらないときは、出穂10日前にもう一度、窒素成分で2kg程度を施用しましょう。
  • 基肥一発肥料でも追肥が必要なときがあります
    穂肥の適期に葉色が4.0以下の時は②と同様に一発肥料であっても追肥をしましょう。
    作業の都合で、田植えよりも10日以上早く施肥をしている場合、肥料が早く溶出して穂肥が必要になる場合があるので注意しましょう。
(2)イネカメムシ対策 「出穂期防除は必ず実施」

 昨年の米の品質低下は、高温障害とともにカメムシによる斑点米(着色粒)の多発も大きな要因でした。今年もすでにイネカメムシが大量に発生していますので防除の徹底が必要です。

  • 出穂予想の2週間前になったら畦畔除草は止めましょう。
    斑点米カメムシ類はイネカメムシ以外にも数種生息しています。畦畔などのイネ科雑草から本田への飛び込みを抑えるため出穂2週間前になったら草刈りは止めましょう。
  • 出穂期~穂揃い期に1回目の防除
    出穂間もなく被害を受けると不稔穂となり減収につながります。出穂期に必ず1回目の防除を行いましょう。
  • 穂揃いの10日後に2回目の防除
    粒が肥大する時期に被害を受けると斑点米(検査では着色粒と判定)になって等級低下の原因となります。今年の発生状況から2回目の防除も必要と考えられるので準備しておきましょう。