営農についての情報
水稲
品質低下を防ぐため、適期刈り取りを徹底しましょう(2024年9月6日作成)
1.今年の天候と稲作への影響
梅雨明け以降、今年も気温が非常に高い状態が続き、8月中旬までは日平均気温が30℃を上回る日がほとんどでした。しかし、8月下旬以降台風の影響もあってやや気温は下がってきました。また、今年は南の海上で季節風と太平洋高気圧が合流してモンスーンジャイア(季節風の渦)が発生して台風が生まれやすくなり、8月は5号、6号、7号及び10号の4つの台風が本州に影響を及ぼしました。県内でも各地で大雨や突風などが発生し降水量が多くなりました。
日平均気温の20日間平均値は下図のとおりで、白未熟粒発生の危険温度27℃を上回る日が8月25日まで続きました。特に本年は7月中旬から8月中旬までは昨年以上に高い温度で推移したため早期・早植えの水稲では昨年同等に高温被害が多く発生することが懸念されます。一方、8月中旬以降は昨年よりも温度は早く下降していることから、麦後の普通植えや晩生の品種では昨年よりも被害は小さくなるものと予想されます。
2.適期収穫で品質低下防止
高温やカメムシの多発等で品質管理に苦労する年になりましたが、最終段階で品質低下にならないよう、これからの対策は①間断潅水の継続、②早期落水防止、③刈り遅れ防止です。中でも、刈り遅れは、白未熟粒の増加、胴割れの発生および玄米の色沢低下につながるので注意しましょう。
本年のような高温環境下では、稲穂の退色が緩慢で緑が抜けにくくなります。完全に退色するまで待つと刈り遅れになってしまいます。刈り取り適期の判断には穂の色ではなく出穂からの日平均気温の積算温度を活用しましょう。下表の出穂期別刈り取り適期予想を参考に作業を進めて下さい。
また、県農業技術研究センターHPの「農作物の生育状況」では、毎週火曜日と金曜日に主要品種の「籾水分の情報」が発信されています。出穂後からの籾水分の低下の様子が分かるので刈り取り判断の参考にして下さい。
3.生産物の管理にも注意
気象予報各社とも、9月も台風が多く発生すると予想しています。大雨による浸水被害を受けないように米や農作業機等の保管は被害を避けられる安全な場所を選びましょう。
また、米の価格が高騰している現在、盗難に対する注意も必要です。米は鍵のかかる場所に保管するなど、盗難への対策もしっかり行いましょう。
稲刈り後は「早めに」、「粗く」耕耘しておきましょう
早く耕耘するとメリットがたくさんあります。気温が下がる前、田んぼに湿り気があるうちに粗く起こしておきましょう。
1.稲わらや稲株の分解が進むとともに、大雨による吹き寄せも防止できます
稲わらや稲株に土をかぶせることで、微生物が稲わらを分解してくれるので、翌年の作業がしやすくなるとともに、水田からのワキ(メタンや硫化水素)の発生も抑制できます。また大雨等で冠水した時の藁くずの吹き寄せ防止にも有効です。
2.病害虫の居場所をなくします
収穫後も稲は生きているので気温が高いとヒコバエが発生します。このヒコバエが病害虫の住みかや餌場になって、翌年の稲への被害につながりますので耕耘して住みかを無くしましょう。
3.厄介な多年生の雑草を減らします
クログワイやオモダカ等、塊茎で増殖する多年生の雑草は本田防除だけではなかなか撲滅できません。掘り起こして塊茎を冬場の寒さと乾燥に当てることで死滅させましょう。