営農情報

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1月の麦の生育と管理について (2025年1月9日作成)

1.気象経過と麦の生育状況

 11月から12月上旬までは気温の高い日が多かったものの、中旬以降は平年を下回る寒い日が多く、雨も長期間降らず、乾燥した状態が続いていました。
 このため、11月~12月初旬に播種された麦は平年並み~やや遅れ気味の生育です。暖冬が続く近年、麦の生育は進み過ぎる傾向なので、それと比べるとよい状況と言えます。なお、12月中旬以降の遅まきの麦はようやく出芽が揃ったところで、こちらは乾燥で生育は遅れ気味です。

2.今後の天候と予想される麦の生育

 気象庁発表の1か月予報(1月2日発表)によれば、1月は晴れの日が多く、寒気の影響を受けにくいため気温は平年並~やや高くなる見込みです。また、1月6日に40日ぶりのまとまった雨がふったことからほ場の乾燥も解消され、麦の生育は平年並みに順調に進むと考えられます。

3.1月の管理作業

(1)麦が小さい時こそ大切な麦踏み

 麦が小さい時の麦踏みには、①麦の伸びすぎを抑え、②根の張りを良くし、③分げつを早く出させる効果があります。さらに踏まれることで体内水分が低下して養分濃度が高まり④低温に強くなります(耐寒力が高まる)。また、低温になった時に霜柱による根の浮き上がりを防ぐ効果もあります。
 防寒対策をしっかり行って、麦踏みを実施しましょう。
 遅まきの麦も、3枚目の葉が出たら実施しましょう。

(2)雑草の多いほ場は除草剤の生育期処理

  11月播きの麦は、播種後土壌処理除草剤の効果が切れる時期になりました。今の時期、雑草も小さくあまり気にならないものですが、着実に成長し葉の枚数が増えています。気が付いたら除草剤の散布適期を逃してしまったということにならないよう、生育期処理剤を散布しましょう。

<広葉雑草優先ほ場では>
①カラスノエンドウには、6葉期まで適応のあるバサグラン液剤が効果的ですが、4葉以上になると完全に枯死せず再生する株も出てくるので、早めの処理(2~3葉期のうちに)がより有効です。
②ヤエムグラには、6節期まで(ヤエムグラは節の数で生育を判定します)適応のあるエコパートフロアブルが効果的です。
また、これらの広葉雑草が混在しているほ場ではカラスノエンドウの防除を優先し、ヤエムグラが残ってしまったらエコパートフロアブルを使用するのが効果的です。

カラスノエンドウ2葉期
ヤエムグラ4節期

<イネ科雑草優先ほ場では>
①スズメノテッポウには唯一ハーモニーDFが有効ですが、抵抗性のあるスズメノテッポウには効果がありません。繁茂する前に中耕や草掻きで除草しましょう。
②カラスムギ、ネズミムギには、1葉期を過ぎると有効な除草剤がありません。播種後土壌処理を行ってもいつも発生してくるほ場では、これらの雑草が再発生する前にトレファノサイド乳剤の生育期処理を行って発生量を抑制します。それでも残った時は中耕や草掻きで除草しましょう。

スズメノテッポウ2葉期
カラスムギ1葉期
(3)ほ場が乾いて麦が小さいうちに排水路を整備

 麦は湿害に弱い作物です。雨等でほ場の湿った状態が続くと、土壌が酸素不足になったり窒素成分が失われたりすることで麦の葉は黄化し、生育は衰え、ひどい時には枯死します。
 明渠は湿害回避のための有効な手段です。麦がまだ小さく、雨の少ないこの時期に整備を行いましょう。すでに施工されているほ場も、麦踏み等で溝が埋まることがあるので点検を行い、排水口まできちんと接続しているか確認しましょう。