鳥取の特産品

柿は日本で最も古くから食されている果物で、奈良時代までさかのぼります。日本語のカキということばがそのまま学名にもなるほど実に日本らしい果実です。(学名はDiospyros-kakiといいます)

鳥取県では、輝太郎柿西条柿富有柿花御所柿などが中心に栽培されています。

輝太郎

輝太郎とは

輝太郎とは、鳥取県が農研機構の協力により鳥取県で育成された品種です。早生の甘かきの育成を目的に、交雑育種による新系統の育成に取り組み、数多くの系統のなかから平成22年に品種登録されました。鳥取県内では栽培面積も徐々に増加しており、注目の品種となっています。

輝太郎の特徴

秋の訪れを告げる9月下旬から10月上旬にかけて出荷が始まり、鳥取県の主要品種のなかではトップバッターをつとめます。出荷が早い早生品種としては糖度が非常に高く、しっかりとした甘みがあります。また、重量は300g程度になるので大玉で満足感があります。輝太郎の真ん中にある目玉のような黒い部分はポリフェノールの1種である「タンニン」が含まれており、まさに輝太郎の目玉の部分となっています。

西条柿

西条柿の由来

西条柿の歴史は古く、16世紀半ば、毛利氏と尼子氏の覇権争いが行なわれていた頃、西条柿はすでに干し柿として加工され武士の保存食料として珍重されていたそうです。

本格的な栽培が始まったのは昭和初期からで、昭和30年代にドライアイスの渋抜き技術が普及するとその品質は飛躍的に向上しました。

西条柿の名前の由来は、広島県東広島市の「西条町」とも愛媛県の「西条市」ともいわれていますが定かではありません。ただ東広島市の「西条町」の名刹長福寺には西条柿にまつわる由縁が書き残されていると聞きます。鳥取県は今では国内有数の産地となり、県東・中部を中心に栽培されています。

西条柿の特徴

西条柿は中国地方特有の品種で全国的にみても非常に珍しい柿です。その特徴はなんといってもその味と形です。

もともと西条柿は渋柿なので渋抜きをしなければなりません。以前は「むろ」で渋抜きをしたりアルコールで渋抜きしていましたが、現在ではすべてドライアイスで渋抜きをして発送します。渋抜きされた西条柿は、常温だと1〜2日くらいでやわらかくなってしまいます。なるべく早く食べていただくのが一番なのですが、もし食べきれないときは、ビニール袋に入ったまま袋の口をきつく縛り冷蔵庫で保存してください。それでも4〜5日くらいが限度と思われます。

渋抜きされた西条柿は、柿の中でもとびっきりの甘さでその肉質はとても上品で緻密(ちみつ)です。固すぎず、柔らかすぎず絶妙の食感が味わえます。形はずんぐりとしたロケット型で、縦に溝があるのも特徴です。この味は一度味わったら忘れられず、毎年大勢の方よりご注文いただいています。

中・四国地方以外のお店では、めったに目にすることも口にすることもできないとても珍しい柿です。ぜひ一度ご賞味ください。

西条柿のおいしいところ

どこもおいしいのですが、種のまわりについている果肉の「つるん」とした舌ざわりと、かんだ時のグミのような食感が最高だと思います。(個人的意見ですが・・・)

西条柿の栽培

西条柿は花がつぼみの時、摘蕾(てきらい)といって花のつぼみを間引きします。これが結構重要な仕事です。だいたい一枝に一つのつぼみにします。花は5月下旬〜6月上旬くらいに咲きます。普通はミツバチで交配します。交配後20〜30日くらいで小さな実になりますが、この内自然に落ちてしまうものもあります。これを「生理落果」といいます。種が入っていない果実や弱い果実が自然に落ちてしまうのです。年によって落ちる数にかなり差がありますので、これによって収穫できる量が大きく左右されます。その後さらに摘果(てきか)といって、果実を太らせるためにちょうど良い数まで果実を間引きます。9月の上旬頃に果樹園の下に銀色のマルチ(ビニールのようなもの)をしいて、太陽の光が果実にあたるようにして色がつきやすくします。10月中頃より収穫がはじまり11月中頃まで収穫されます。一番むずかしいのは収穫の時です。果実の色で熟れたかどうか判断するのですが、微妙な色で判断しなければならないため見極めがとてもむずかしいのです。

西条柿の栽培

西条柿は、見ての通りずんぐりとしたロケット型で、その上溝が何本かあるので普通に皮をむこうとするととてもむきにくいです。そこで、簡単に皮をむく方法をご紹介します。

まず、図のように縦に十文字に切ってください。次に切ったあとから皮をむいてください。そうすれば簡単に皮をむくことができます。(あたりまえといえば、あたりまえですけど・・・)

西条柿のシャーベット

西条柿は完熟して柔らかくなってしまうと「熟柿(じゅくし)」といいますが、こうなってしまうともう出荷することはできません。味は良いのですが、とても柔らかいので輸送やお店での日保ちに耐えられないからです。

そこで、この「じゅくし」を冷凍庫で急速冷凍しておきましょう。冬を越し夏になったら出番です。冷凍庫から取り出して、半解凍にすると「西条柿シャーベット」のできあがり。好みの問題もあるかもしれませんが、産地農家の方はぜひ一度お試しください。(くれぐれも全解凍しないでください。ベチョッとなってしまいます。)

富有柿

富有柿の由来

富有柿の原産地は岐阜県です。現在は原木と“富有柿発祥の地”の石碑が建てられています。1902年(明治35年)に、古典「礼設」の中にある「富有四海之内」の言葉を採用して「富有」と命名されました。100年以上の歴史があり、現在では全国の甘柿の約3割を占めています。言わずと知れた「甘柿の王様」です。

鳥取県では明治43年頃に植えつけられ、栽培が始まりました。

富有柿の特徴

甘みが強く、多汁大果で果肉は柔らかです。ビタミンCをたっぷり含んでいますので、美容と健康に最適です。

10月下旬頃から出荷され、日持ちの良さを活かし一部は海外にも輸出されています。

花御所柿

花御所柿の由来

今から約210年ほど前の天明年間に、郡家町「花」の農民・野田五郎助という人が大和の国(現在の奈良県)から「御所柿」の枝を持ち帰って、渋柿に接木したのが始まりといわれています。当時は「五郎助柿」とよばれていたそうですが、栽培面積が広がるにつれて地名にちなんで「花御所柿」と呼ばれるようになりました。

花御所柿は、鳥取県の東部、因幡地方にのみ栽培されしかもその9割が「八頭町(旧 郡家町)」というところで栽培されている非常に珍しい柿です。しかも不思議な事にこの「花御所柿」は「八頭町(旧 郡家町)」の中でもごく一部の限られたところでしか品質の良いものがとれないのです。そこは、旧「大御門村(おおみかど村)」内で発祥の地「花(はな)」をはじめ「大門(だいもん)」「西御門(にしみかど)」「殿(との)」「市の谷(いちのたに)」など。なにかしらゆかりのありそうな地名のところばかりです。なぜこの限られた地区だけしか良いものがとれないのか詳しい事はわかっていません。

花御所柿の栽培

花御所柿の栽培はとても難しく、へたの割れや果実の表面の汚れが現れやすいなど栽培にはとても苦労しています。また熟れているかどうかの見分けがむずかしいので、収穫の時にも気を使います。栽培に適している地域がごく限られているので、他の町村や県外などで栽培がなかなか広がらないという理由のひとつになっています。

花御所柿は全国に多くの別名が存在し、わが国における甘柿の文字通り大御所的な品種といえます。

花御所柿の特徴

花御所柿は肉質がとても緻密で果汁が多く、糖度が20度以上でとても甘い品種です。ただし、熟していない時はまだ渋く、11月になって霜がおりるようになると葉が落ちはじめ実も赤くなって甘くなります。その味は甘柿の中では最高といわれ、とろけるような味は一度食べたら忘れられません。また、ほんのりと渋みが口に残るのも特徴のひとつです。収穫期が11月中旬から12月上旬と他の品種に比べ遅いため、出荷量の6割は贈答などの進物用として販売されています。

柿の効果・効能

柿というのは、実はとても栄養価の高い果物です。抗ガン作用が注目されている「ベータカロチン」や抗酸化作用がある「ビタミンC」を多く含んでいます。また、風邪の予防や二日酔いにもよいとされています。柿に含まれる「タンニン」は、血管を強くして血圧を下げる効果が期待できます。