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種子繁殖型イチゴの可能性を探る ~県いちご栽培技術研修会~

2016年10月05日

種子繁殖型品種「よつぼし」の及ぼす効果を紹介する石川講師 

 神奈川県いちご組合連合会(事務局:全農かながわ)は、10月5日、「神奈川県いちご栽培技術研究会」を県農業技術センターで開催した。
 県内イチゴ農家の栽培技術の向上と、農業経営に役立てようというもので、会員農家やJA、行政関係者ら65名が参加した。
 (財)園芸植物育種研究所・石川正美研究開発部長が、次世代のイチゴ生産技術として期待がかかる「種子繁殖型イチゴ」の特徴や、国内外のイチゴ市場へ与える影響について講演した。同氏は千葉県農林総合研究センターで種子繁殖型品種などイチゴ育種に長年関わった経歴を持つ。

 イチゴの代表的な病気「炭そ病」「うどんこ病」など病害抵抗性を複合的に備え、周年栽培が可能な四季成り性で、食味が良く、収量も見込める種子繁殖型品種「よつぼし」の育成により、イチゴ生産に革新的変化が起きると予想される。種子繁殖は、親株から子株を増やす栽培法と比べて病害虫の回避効果が高く、育苗・防除の省力化・省コスト化が期待できる。
また四季成り品種への転換は、端境期を解消し、年間を通して市場に国産いちごを供給できる可能性が広がる。種子繁殖技術を活かし、将来的には植物工場のような大規模経営も考えられる。「日本のイチゴは高品質で海外でも評価が高い。種子繁殖型の普及により、輸出も含め、イチゴ市場が拡大・発展するだろう」と石川氏は話した。
 現在、優良種子の選別法や発芽率の向上、育苗法や栽培法の確立に向け、三重県、香川県、千葉県、農研機構等で研究が進んでいる。神奈川県内で試験的に栽培を開始した会員は、栽培法について熱心に質問していた。
 併せて、県農業技術センターが、敷設したパイプに温水を流してイチゴ果実を局所的に温める「イチゴ局所環境制御システム」の研究結果について紹介した。