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「営農用貯油施設流出事故未然防止の安全点検研修会」を実施しました

2023年08月18日

点検活動で油流出事故を防ごう

 7月7日、県内のJA経済部門担当者や営農指導員を対象に「営農用貯油施設流出事故未然防止の安全点検研修会」が行われました。
JA全農総合エネルギー部関東エネルギー事業所神奈川推進課が主催し、25人が参加しました。

 オイルタンクなどの営農用貯油施設における火災・漏えい事故は人命や周辺環境への影響が深刻であり、所有者の管理不足が原因の場合は多額の賠償金支払いが発生します。こうした事態を未然に防ぐことを目的に、本研修会が企画されました。
全農としてこのような研修会の実施は全国的になく、本県が初の研修会となりました。

 研修会はネポン株式会社厚木事業所にて行われました。まず油漏えい事故の事例と対策・点検のポイントに関しての説明があり、同社のタンク施設を使用した点検のデモンストレーションが行われました。また、県内の事例としてJA湘南での点検活動の経過・取り組み報告も行われました。

 JA湘南では組合員の安全意識向上、夏場の組合員訪問活動の位置づけで令和3年度より点検活動をスタートさせ、一定の改善効果を上げました。具体的には5段階の危険度ランクを設定し点検、危険度が高い施設の保有農家に対しては燃料係・支店担当者が状況を再確認し、結果説明、改修に向けた指導・相談を実施しています。同JAの課題として「改修費用が高額になる場合が多く、なかなか改修に着手できない現状もある」と苦慮する部分もあるが、点検活動は今後も継続して取り組むとしています。

 ネポン株式会社によると、農業用の温風暖房機は1964年に初めて登場し、1980年代に販売のピークを迎えました。40年経った現在、暖房機の買い替えはあっても、初めて暖房機を購入した際に設置した配管
が以降そのままになっているケースが多く、腐食や油にじみの問い合わせが増えたそうです。
特に夏場は油の熱膨張により、配管の変形・破損が発生しやすく、日常の施設管理の徹底が必要となります。

 参加者は「日頃営農指導する立場として、ためになる研修会でした。油流出事故は地域の風評被害にもつながりやすいため、施設のメンテナンスを組合員の経営判断に任せきりにせず、安全安心のために未然防止の重要性・必要性を説明していきたいです。」と話しました。

 主催者は本研修会を機に、JAの訪問・点検活動を通じて農家自身による定期的な点検の重要性を知ってもらい、適切な対応を促せるよう県域全体で体制を作っていきたい考えです。