事例その2.わけぎ
完熟堆肥による農家収益向上と産地の維持・拡大
ひなまつりの縁起物や、冬の食卓に彩りをそえる野菜として、昔から親しまれ広島が生産量日本一の野菜「わけぎ」ですが、近年、生産者の高齢化・夏場の品質低下などが原因で、どんどん生産量が減少し、広島が誇る農産物「広島わけぎブランド」存続が危機的状況にあります。
JA全農ひろしまでは、県内のJAと「土づくりからの農業再興プラン」に取り組んでおり、1作における収穫量の減少の改善対策のため、「わけぎ」においても圃場調査・土壌分析をもとに完熟たい肥である「こだわり健肥」(※)を利用した、土壌の物理性改善に取り組みました。
「こだわり健肥」による改良区では、葉先枯れ症状の減少による品質向上、収量増加により、慣行栽培区と比べて、収量が増加しました。
※ 「こだわり健肥(けんぴ)」とは、製造管理を徹底し県内で生産された完熟堆肥
こだわり健肥の効果
作付前の土壌診断により、不足成分と過剰成分の分析をし、分析結果を生かした肥料設計を行いました。さらに物理性の診断結果に基づき、完熟堆肥(こだわり健肥)を施用した結果、わけぎが健全な生育となり、葉先枯れの発生を抑えることができました。
また、1aあたり55kgの収量増加となりました。そして、収量増と品質向上(葉先枯れの抑制)により、出荷金額にして、1aあたり74,455円の収益増大につながりました。
(1)「こだわり健肥」施用前の土壌診断結果
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(1)物理性
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(2)化学性
(2)試験結果について
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(1)葉先枯れの減少
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(2)健全葉の増加
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(3)収量増加
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(4)収益増加
継続は力!土づくり2年目の成果
土づくり2年目の方が、土づくり1年目より収量が1aあたり約26kg多いという結果が出ました。
また、土壌分析結果を見てみると、土づくり2年目の方が、CEC(保肥力)、腐植が増え、土壌の物理性の改善がみられ、このことがわけぎ収量増加に繋がったと思われます。
これらの結果からも、継続した土づくりが、高収量・高品質な農産物生産に繋がります。
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(1)収量の増加
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(2)地力向上
この結果をもとに農家所得安定・広島わけぎブランド振興・新規産地拡大につなげることを目的に取り組みを行っています。