三重県園芸振興協会（事務局＝ＪＡ全農みえ営農対策部）は２月２７日、ＪＡ伊勢御浜支店農業団地センターで三重県カンキツ生産者研修会を開き、生産者、ＪＡ、県、全農みえ関係者ら９６人が参加しました。

研修会は、自然災害や気候変動による栽培環境の変化や鳥獣・病害虫のリスクなどの課題があるなか、産地としてより高度な栽培技術を獲得し、高品質な果実生産を維持するのが目的です。

農研機構西日本農業研究センターの研究推進部技術適用研究チームの志村もと子チーム長らが、「ＮＡＲＯシールディング・マルチ（Ｓ・マルチ）栽培」の特徴や効果などを講演しました。

かんきつ園地を防水性のあるシートで覆うマルチ栽培を強化した技術で、同機構が開発しました。地表面に加え、根圏を囲うように地中にシートを埋設し、土壌への水分浸透を防ぎます。あわせて、かん水設備で水分量を調節可能にします。

雨水が根域に入ることとマルチ外への根の伸長を防ぐことが特徴。これにより適切な乾燥ストレスを与えることができ、高品質果実の安定生産につながります。

同機構は、雨の多い土地や温暖化による気象条件でも高品質安定生産が可能とし、収益性や品種の適用拡大などの検討を進めながら、産地へ普及していきたいと報告しました。

紀州地域農業改良普及センターから２０２４年産温州みかんの生育を振り返り、高温干ばつの影響で小玉果比率が高めとなり、日焼け果による減収となったことを報告。今後も厳しい気象条件となる可能性があり、小玉と日焼けへの各対策が重要と話しました。

県農業研究所紀南果樹研究室から温州みかんの日焼け対策として、目合いに関わらず青ネットの効果が高く、マイカ線で樹に固定すると作業性がよいと話しました。苗木植栽時の有機物投入量が生育に及ぼす影響として、バークたい肥の投入で初期成育がよくなると報告しました。