悔しさをバネにさらなる挑戦

石下地区園芸部 果菜部会
金安 英治さん、典子さんご夫妻
代表的な夏野菜のひとつ「なす」。煮てよし、焼いてよし、揚げてよしと和洋中さまざまな調理法に向いており、料理の万能野菜として欠かせない存在となっています。
今回は、JA常総ひかり管内の常総市石下地区で、ハウスでの長なす栽培に取り組まれている金安さん夫妻にお話を伺いました。
金安さんは常総市石下地区の農家の3代目。ご両親からメロンとすいか栽培を継いだのち、JAからなすの栽培を勧められたことを契機に、栽培を始めました。当初は中なすを栽培していましたが、思うような収量が得られませんでした。そのときの悔しい気持ちをバネに、栽培研究に取り組むようになりました。その後、長なすの露地栽培へとシフトしましたが、天候の影響により表面に傷がつくことが避けられず、納得のいく品質に近づけるために比較的風の影響が少ないハウスでの栽培に転向しました。
現在栽培している「筑陽」という品種は、実がしまっているので食感が良く、さらにハウスで栽培しているため、露地栽培物よりも皮が柔らかく一口目から旨味が滲み出てくるのが特徴です。20aのハウス栽培で有機肥料を中心に土づくりをおこない、5月から10月にかけて約5000ケースを京浜、東海地区へ出荷しています。
均一に光を当てるための工夫
金安さんの徹底した品質へのこだわりの一つとして、すべてのなすをV字仕立てで栽培しています。夏場に生育旺盛に育つ枝葉をV字に仕立てた糸に添わせることで、木の中心部まで太陽の光をあびて、色艶のある濃い紫色の品質の良いナスを安定して収穫することができます。
また、枝に対して実が斜めにぶらさがるため、表面に傷がつきにくいという利点もあります。
事前に傷を防ぐには
実がなりはじめてからは、"葉かき"作業が中心となります。
風に吹かれた花や葉が実に当たり、擦れた傷がついてしまうのを防ぐために、実が小さいときから、実の周りにある葉を取り除きます。風の通りもよくなり蒸れや病害虫の発生が抑えられ、実にまんべんなく日が当たり美しい濃紫色に育てられるそうです。
環境に優しい防虫
稀に害虫によって、なすの表面にコルク状の傷がつくことがありますが、このような虫による品質低下を防ぐために粘着シートやフェロモントラップを活用し、環境に優しい害虫駆除を実践しています。特定の色に反応する害虫の特徴を利用し、カラーの粘着シートを吊るしたり、メスの匂いでオスをおびき出すトラップをハウスの周辺に設置し、できるだけ農薬に頼らないように心がけています。
市場からの厚い信頼
こうした努力を経て育てられた長ナスは、曲がりや傷が少なく、生産者指名で出荷依頼がくるほど市場からの信頼も厚いそうです。金安さんは「作ったなすが市場で評価されると嬉しい」と、市場の評価が栽培へのさらなる活力となっていると仰っていました。
JA常総ひかりの長なすを食べて、暑い夏を"美味しく"元気に乗り切りましょう!