関東有数の米どころで育てる
こだますいか「夏SORA姫」

JA稲敷のある稲敷市は、霞ヶ浦や利根川に囲まれた豊かな田園が広がる、関東有数の米どころです。水稲を中心に、"江戸崎かぼちゃ"やれんこんなど、多彩な農産物が栽培されています。

2022年からは水稲の育苗ハウスを活用した農作物栽培の可能性を探るため「こだますいか」の試験栽培を開始しました。2025年からは7人の生産者が参加し、JA職員が主導となって栽培をおこなっています。栽培方法は県内JAで唯一となる立体栽培で、「夏SORA姫」というブランド名で7月からの出荷を予定しています。
今回はJA稲敷のこだますいかについてJA稲敷の藤川さんにお話を伺いました。
コンテナでの立体栽培で、
見た目も味も絶品のこだますいかに

一般的にすいかは、つるを地面に這わせて栽培しますが、JA稲敷では支柱とネットを使い、つるを上に誘引する「立体栽培」という方法を採用しています。さらに、水稲の育苗ハウス内にコンテナを用いて栽培しているのも特徴です。立体栽培では、実が地面に触れないため、傷がつきにくく、見た目が美しいこだますいかに仕上がります。また、葉にまんべんなく日光が当たることで光合成が促進されるだけでなく、高さがあるため作業時に腰をかがめる必要がなく、生産者の負担も軽減されます。
コンテナを用いた栽培では、水分管理がしやすいため、甘いこだますいかに育てることができます。栽培後はコンテナを撤去するだけで、ハウスを元の状態に戻すことも容易です。また、徹底した温度・水分管理に加え、魚粕やカニ、昆布などを原料としたミネラルやアミノ酸を豊富に含む有機質肥料を使用することで、糖度の向上にも努めています。
独自のブランド基準で高品質を追求

実が大きくなり始めたら、一玉ずつこだますいかを紙で覆い、日焼けを防止します。
夏SORA姫は、茨城県のこだますいかの選別基準に加え、重さ1.8kg以上・糖度12度以上という独自の基準を設けています。収穫時期を決める試割りに加えて、糖度検査には光センサーを使用し、正確な選別をおこなっています。

「コンテナでの栽培は根が張る範囲が限られるため、大きく育てるのが難しいです。すいかを実らせるための交配もすべて手作業で、温度や水分の管理にも繊細さが求められます。手間はかかりますが、コントロールができるので秀品率が高く、糖度が安定した生産が可能になります。」と藤川さんは栽培の難しさとともにその魅力についても教えてくれました。
地域特性を活かした複合農業を目指して

イメージキャラクター
ソラちゃん・レンちゃん
藤川さんに今後の展望について伺うと「この地域では水稲を栽培する生産者が多いですが、近年は米価が不安定な状況が続いています。こうしたなかで新たな栽培方法を取り入れて選択肢を広げることで、生産者がより安定した生活を送れるようサポートしていきたいと考えています。その一環として、現在はこだますいかとメロンの試験栽培に取り組んでいます。まだ検証段階にはなりますが、多くの方に“夏SORA姫“を知っていただき将来的には部会の発足を目指したいです。」と話してくれました。
夏SORA姫はJA稲敷 新利根直売所で販売を予定しています。最新情報はJA稲敷 新利根直売所のHPやX、Instagramからぜひ、ご確認ください。