アスパラガスはもともと南ヨーロッパが原産国であり、その歴史は紀元前2000年頃に始まりました。古代ギリシャ・ローマ時代ではすでに栽培されており、特別な食材として扱われていました。中世では痛風に効く薬草として重宝されていたようです。
さらに時代を遡って古代エジプト王朝の頃には、パラオン王達がアスパラガスを高級食材として食していた様子が壁画やフレスコ画に残されています。上流階級の人々しかアスパラガスを食べられなかったようですね。当時はまだ細い茎の野生のアスパラガスを食べていたようで、現代のような太いアスパラガスが食べられるようになったのは紀元前200年頃のことでした。
日本へは江戸時代にオランダ船から鑑賞用として日本にもたらされましたが、食用として導入されたのは明治時代のことです。本格的な栽培が始まったのは大正時代からで、欧米への輸出用缶詰に使うホワイトアスパラガスが始まりでした。その後国内でも消費されるようになり、昭和40年代以降はグリーンアスパラガスが主流となりました。現在では生のホワイトアスパラガスや調理しやすいミニアスパラガスなども店頭に並んでいます。
本州では4月下旬頃から6月にかけて若芽が成長し、低温期は1日1回、高温期は1日2回収穫します。長さが25cmくらいに伸びた柔らかい茎を食用とし、土寄せして軟白栽培した白いものをホワイトアスパラガスといい、それに対して土寄せせずに普通に育てた緑色のものはグリーンアスパラガスといいます。ホワイトアスパラガスの栽培では日光を遮断するために土を被せてアスパラガスを覆ってしまう方法のほか、鉄道などの廃トンネルを利用した栽培もおこなわれています。
ドイツやオーストリアではホワイトアスパラガスはSpargel(シュパーゲル)と呼ばれ、日本での筍のように、春から初夏にかけての味覚として珍重されています。一般的な食べ方は、茹でたホワイトアスパラガスに溶かしバターやオランデーズソースをかけたり、ハムやジャガイモを付け合わせにしたり、逆に肉料理の付け合せにする場合もあります。
近年、アントシアニン色素の多い紫色品種のアスパラガス(米国原産「パープルパッション」、福島県産「はるむらさきエフ」など)や桜色の品種も登場しました。加熱すると紫色は失われ緑色になるため、色を楽しむためには生食するか、食酢・レモン汁を入れてさっと湯通しする程度にとどめると良いでしょう。
主な産地
選び方
- 全体的に緑色が濃いもの。
- 穂先がしっかりしまっているもの。
- 切り口が変色しておらず新鮮なもの。
保存方法
- 乾燥を防ぐため、ビニール袋などに入れ、立てた状態で保存。