茨城県常総市水海道地区では、鬼怒川の豊富な水源を活かし、「百成レイシ2号」とよばれる品種をハウスと露地で栽培しています。肉厚で歯ごたえのある食感と苦味、深い緑色の表面が特徴のにがうりは、市場でも高評価を得ています。 産地だより

小林さんのにがうり

茨城県常総市水海道地区では、鬼怒川の豊富な水源を活かし、「百成レイシ2号」とよばれる品種をハウスと露地で栽培しています。肉厚で歯ごたえのある食感と苦味、深い緑色の表面が特徴のにがうりは、市場でも高評価を得ています。

水資源に恵まれた水田と
畑が広がる農業地帯

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JA常総ひかり 水海道園芸部会
にがうり生産者 小林 節郎さん

夏に向けて野菜売り場に登場するにがうり。最近では緑のカーテンとしてご家庭でも育てている方も多いかと思います。

茨城県の南西部、常総市水海道地区では、鬼怒川の豊富な水源を活かし、27名の生産者が約1.6haの圃場でにがうりの栽培に取り組んでいます。以前は個人で栽培をおこなっていましたが、園芸部会の取組のひとつとして活動を始めたのはここ数年のことです。
生産者が集まり、出荷規格や目揃え会、現地栽培講習会、種苗メーカーによる栽培講習会を通して技術向上に勤め、5月下旬から10月にかけて毎年約72tを京浜市場へ出荷しています。生産者とJAによる厳正な選果選別を経た水海道のにがうりは、市場でも高評価を得ています。

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第2の人生で始まった挑戦

「農業学校時代の友人に勧められるまで、にがうりは栽培したことも食べたこともありませんでした。先輩農家に教えを乞い、他県の産地に視察に出かけて栽培方法を学びました。」と話すのはにがうり生産歴10年の小林さんです。
農業学校を卒業後、定年まで住宅関係の仕事を勤めたのち、農家の友人の勧めで栽培を始めました。「第2の人生について考えた際、両親から継いだ農地を使って何かを始めたいと思ったことがきっかけです。」

小林さんは「百成レイシ2号」とよばれる品種をハウスと露地で栽培しています。この品種は肉厚で歯ごたえのある食感と苦味、深い緑色の表面が特徴のにがうりです。

歩くとふんわりと沈みこむほどフカフカに仕立てた土壌に、ビニールハウスの骨組みを独自に加工した支柱を使ってツルを這わせます。生育旺盛なツルをのびのびと伸ばすために、先輩農家の友人と協力して考案したオリジナルの栽培方法です。

真っ直ぐなにがうりを育てるには摘果が肝

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曲がりやすいにがうりをまっすぐ育てるには受粉が肝心です。
すべて同じ黄色い花のように見えますが、にがうりには雌しべのみの雌花と雄しべのみの雄花の2種類があります。早朝、花が咲いている限られた時間でひと花に5本ついている雌しべすべてに手作業で花粉をつけていきます。

花粉をつけ忘れた方へ曲がってしまう性質のため、僅かな時間の中で非常に気を使う作業といえます。スマートと呼ばれる器具を取り付けて曲がりを正す産地もありますが、受粉をしっかりとおこなうことで曲がりを防ぐ努力をおこなっています。この作業は、梅雨明け頃まで毎日続くそうです。

きれいな緑色は
均等に日に当たっている証拠

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気温が上がると同時に樹勢が増すにがうりは、真夏には1日に20~30cmもツルが伸びます。葉とツルで日光が遮られ実が白くなってしまわないよう、1枚ずつ日光を遮っている葉を摘み、実を日光に当てる作業がはじまります。
じりじりと焼け付くような初夏の暑さに耐えながら葉を摘んでいくのが一番大変だといいます。美しい緑色はこうした農家さんの努力によりつくられています。

食卓の定番野菜を目指して

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小林さんのお宅では、沖縄の家庭料理ゴーヤーチャンプルーを始め、天ぷら、みそ炒め、肉詰め、サラダ、そして甘煮等のにがうり料理が食卓に並びます。
特に塩もみで苦味を和らげ、砂糖とお酢で水分がなくなるまで煮詰める甘煮は、甘さとほろ苦さのバランスが絶妙な小林家一押しの逸品です。

「にがうりを使った料理は沢山ありますが、あまり浸透していないのが現状です。ぜひ消費者の皆さんに、にがうりの美味しさを知っていただきたい。そのために今後は生産者とJAで協力して積極的にイベントに参加し、料理を食べていただく機会を作っていこうと考えています。将来は定番野菜のひとつとして定着していくとうれしいですね。」と小林さん。JA常総ひかりでは、このような生産者の活動に全面的に協力していく姿勢です。

苦味が苦手な方は塩もみと湯通しで苦味が和らぎ食べやすくなります。また、にがうりの葉も天ぷらなどにすると美味しくいただけます。夏野菜の代表的な存在、にがうりでこれからの暑い夏も元気に過ごしていきましょう。

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取材協力

JA常総ひかり 水海道野菜集荷場

〒300-2521 茨城県常総市大生郷町3062-5

TEL :
0297-24-0025
WEB :
http://www.jahikari.or.jp/

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