就農のきっかけは父親

野原 豊一さん
茨城県南東に位置し、霞ヶ浦・北浦に挟まれた温暖な気候の行方市は、水はけの良い赤土が、水菜やせり、春菊など葉物野菜の栽培に適しています。今回はJAなめがた北浦地区葉物部会香菜部の野原さんの畑から、シャンサイをご紹介します。
野原さんは、水菜やシャンサイを栽培する父、浩さんに憧れて18歳のときに就農しました。農業を始めて9年目。ハウスの温度管理や水分調整は大変気を使っています。栽培技術委員長である父に相談しながら親子二人三脚でシャンサイを栽培しています。
市場からのニーズに応えるために

爽やかな味と香りで、エスニック料理などに欠かせない野菜「シャンサイ」。香菜、パクチー、コリアンダーなど呼び名はさまざまありますが、どれも同じ野菜を指しています。多様なエスニック料理のブームにのって、最近ではスーパーの店頭でも購入できるようになりました。JAなめがたでシャンサイづくりが始まったのは、さかのぼること14年前。市場からの要望を受け、栽培に取り組んできました。はじめは3~4人で品種や栽培方法について試行錯誤しながら挑戦していましたが、今では栽培農家が16人に増え、年間13haを栽培する産地に成長し、2018年6月には、茨城県青果物銘柄産地の指定を受けました。
香菜部では16名の部会員がローテーションで種まきを行っています。順々に種まきすることにより、出荷量の安定や、市場ニーズに迅速に応えています。また、気温などに合わせて早生種(わせしゅ)、中生種(なかてしゅ)などの品種を変えて種まきをおこない、季節に左右されないようシャンサイの品質安定に努めています。
栽培に適した土を作るため
野原さんの畑ではハウス栽培をしており、夏の日差しや晩秋から早春にかけての霜など、厳しい外気から守ってあげることによってシャンサイの葉や茎の食感が柔らかくなると教えてくれました。そして、シャンサイ栽培では土のコンディションを整えることが欠かせないため、土壌検査を行い、土壌診断書をもとに的確な施肥を行い、栽培に最適な土づくりを心掛けています。野原さんは「シャンサイは生で食べられることが多い野菜。消費者の皆さまに安心して食べてもらえるよう、有機質の肥料を使ったり、太陽熱を利用した土の消毒を行っています。」と話してくれました。
種まき後も目を光らせる
種まき後は土にたっぷりと水分を与えて、ハウス内が乾燥しないよう密閉してシャンサイの芽が発芽するのを待ちます。発芽後は湿度管理に加えて、冬は室内の温度が下がってしまわないよう暖房で室温を調整したり、ハウスのビニールを二重にして一定の暖かさを保つようにします。温度が低いとシャンサイの茎に、防御反応で紫色の筋がはいります。野原さんは「味に変わりはなくても、見た目が変わってしまうから気を遣います。」と教えてくれました。
種まきから50日前後でシャンサイの全長は約25㎝程に成長し、ご家族での手作業による収穫が始まります。シャンサイは根から美味しく食べられる野菜なので、収穫時は根を切らないよう一本一本丁寧に抜いていきます。収穫後はすぐに水洗いして箱詰めをしてからJAに出荷します。鮮度を保つよう低温で管理され、JAなめがたの職員の目で品質チェックをおこない、全国の市場へ出荷されていきます。
爽やかな香りを手軽に楽しむレシピ

野原さんにシャンサイを使ったおすすめレシピを伺うと「JAなめがたは他の葉物野菜も美味しいから、うちでは湖白ねぎと水菜とシャンサイを塩こんぶとごま油であえてサラダにして食べるんだよ。あとは、春菊の代わりにシャンサイを使ったかき揚げもおすすめだよ。」と教えてくれました。

野原さんに今後の目標を伺うと「日本一の生産地として誇りをもって出荷できるシャンサイを栽培していきたいです。そのために品質向上と出荷量の安定に向けて頑張りたいですね。」また、JAなめがた北浦地区葉物部会香菜部としても「銘柄産地の名に恥じない品質を維持していきたいですし、部会全体の出荷量を今の倍に増やせるようにしたいです。」と話してくれました。
JAなめがた北浦地区葉物部会香菜部のシャンサイを、ぜひ、ご賞味ください。
取材協力
JAなめがたしおさい 北浦営農経済センター
〒311-1704 茨城県行方市山田3289
- TEL :
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※文中のJA名および部会名等は取材当初の名称が使用されています。