平成22年に茨城県のオリジナル品種として誕生した「いばらキッス」。最大の特徴は糖度が高く、酸味とのバランスが良くジューシーな食感が楽しめることです。その「いばらキッス」の栽培を茨城県で最初に始めたのが、鷺谷さんでした。

システムエンジニアからの転身

JA北つくば いちご部会 部会長 鷺谷 一雄さん
JA北つくば いちご部会
部会長 鷺谷 一雄さん

茨城県の西部、筑西市にあるJA北つくば いちご部会の部会長である鷺谷さんを訪ねました。平成15年から父親の後を継ぎ、会社員を辞めていちご専業農家へと転身しました。当時はいちごのイロハも知らず、各地を訪ね歩いては作り方を聞き、常にラジカセを持ち歩き、会話を録音しては自宅に持ち帰って要点をまとめるという勉強家でした。

それから11年。持ち前の勉強熱心さと探究心、そしてそれを支えてくれた家族のおかげもあり、部会長を務めるまでになりました。現在ではエコファーマー認定の49名の部会員を束ね、「選ばれる産地にしたい」と現地視察や目揃え会、研修会や販売対策会議など日々いちごのことを第一に考え行動しておられます。

こだわりの「いばらキッス」

平成22年に茨城県のオリジナル品種として誕生した「いばらキッス」。最大の特徴は糖度が高く、酸味とのバランスが良くジューシーな食感が楽しめることです。その「いばらキッス」の栽培を茨城県で最初に始めたのが、鷺谷さんでした。現在ではいちごハウスの約1/4で「いばらキッス」を栽培しています。

ハウスには、元システムエンジニア魂を感じることができます。例えば自動換気設備をいち早く導入したり、ハウス電波式温度計を常に確認できるよう携帯したり、特殊害虫防除灯を設置したりと、様々な設備を導入しています。またハウス周辺の生理整頓、ゴミ一つ落ちてない清潔な農場など、効率といちごの生育を第一に考えた環境作りに取り組んでいます。

毎日毎日いちごのことばかり考えているため、時々奥様から「私といちご、どちらが大切なの?」と聞かれるそうですが、鷺谷さんは迷わず「いちご!」と笑って答えているそうです。

笑顔のおすそわけ

そんな鷺谷さんですが、本当に大事にしているのは奥様と家族。「家族の支えや、妻の力添えなくしては現在のようないちご栽培はできなかった」と、鷺谷さんは言います。頑張り屋のしっかりした奥様が実は鷺谷さんの頑張れる源だったのです。

いちご作りは現在最盛期を迎え、出荷は6月前まで続きます。今年は大雪の影響もあり、一部のハウスが潰されてしまったりと大変な苦労もありましたが、今はそれを乗り越えたいちごたちがハウスの中で赤い肌をつやつやと輝かせながら、収穫を今か今かと待ちわびているように見えました。

みんなが美味しく食べている姿をいつも想像しながら、いちご作りをしている鷺谷さんの「いばらキッス」を、是非一度食べてみてください。あなたにも笑顔のおすそわけがきっと届くはずです。

取材協力

JA北つくば 営農経済センター

〒308-0832 茨城県筑西市西榎1212-1

TEL :
0296-25-6602
FAX :
0296-25-6677
WEB :
http://www.ja-kitatsukuba.or.jp/

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