茨城県で最初のアルストロメリア

会長 久家 源一さん
常磐自動車道土浦北インターに近い、JA土浦 花き部会の久家さんを訪ねました。久家さんは栽培歴30年以上の大ベテランです。広大なハウスには色とりどりのアルストロメリアが咲き乱れ、外の寒い冬を忘れるほどの景観が広がっています。
久家さんの父親は、約50年前にグラジオラスの栽培を始め、当時では珍しくグラジオラスの球根を海外に輸出していました。その父親の影響で始めた花の栽培が、今では茨城県でもトップクラスの生産を誇るまでとなりました。
アルストロメリアは元々オランダでの品種改良が盛んであり、久家さんはオランダから苗を取り寄せて栽培を始めました。当時、茨城県におけるアルストロメリアの栽培はこの時が初めてで、知名度もなく栽培方法も確立されていなかったことから、軌道に乗るまでには6年の歳月を要し、苦労もされたとのことです。
日持ちの良さが自慢
年間50万本の生産量を誇る久家さんのアルストロメリアの中で、一番人気の品種は、白にピンクの「レベッカ」です。冠婚葬祭やアレンジメントなど用途が広く、特に冬場は日持ちが良く、およそ1ヶ月間綺麗な花が楽しめます。他品種でも、黄色い「レモン」や、真っ白な「オルガ」なども人気です。
「レベッカ」は、久家さんが最も多く栽培している品種で、一番の思い入れがあるそうです。初めて市場に出荷する時は本当に受け入れられるのか不安があったそうですが、今日では、「長持ちする花」として市場関係者より支持をいただけるようになりました。
次の夢は後継者が花開くこと
色々な用途に向いたアルストロメリアですが、久家さんは『まだまだ一般の方々には認知されてない』と言います。暑さに弱いため夏場はハウス内の地面を冷やす地中冷却を行ったり、冬場は逆に加温したりと、手間と愛情を注ぎ育てられているアルストロメリア。
多くの方にもっと知ってもらいたいという想いがある一方、『思考錯誤を繰り返し、現在まで多くの苦労を伴って築き上げてきたアルストロメリアの生産を後継者に託すことが夢だ』と、久家さんは語ります。
『もっと多くの方に利用され、認知されていくよう、今後も努力していくよ』と力強く答えてくれました。
まもなくお彼岸。素敵なアルストロメリアをご先祖様にお供えしてみてはいかがでしょうか。
取材協力
※文中のJA名および部会名等は取材当初の名称が使用されています。