一般消費者向けには流通することが少なく、そのほとんどが市場を通じて高級食材として全国の料亭や割烹などで使われています。
長年培ってきた技術や経験で、市場や顧客からの信頼を築き上げてきました。

切みつばの名産地

JA茨城みなみ 谷和原みつば部会 左から大沼誠一さん、部会長 豊島和好さん、副部会長 中島チヨ子さん、大藤節男さん
JA茨城みなみ 谷和原みつば部会
左から大沼誠一さん、部会長 豊島和好さん、副部会長 中島チヨ子さん、大藤節男さん

常磐自動車道谷和原ICから近いところにJA茨城みなみ 谷和原みつば部会の圃場があります。55年ほど前から切みつばの栽培が始まり、現在では県内で最も多い生産量を誇っています。今回は谷和原みつば部会のみなさんにお話しを伺いました。

「谷和原の切みつば」は、一般消費者向けには流通することが少なく、そのほとんどが市場を通じて高級食材として全国の料亭や割烹などで使われており、高級食材にふさわしい丁寧な選別と荷造りで、市場や顧客からの信頼を築き上げてきました。

現在では鮮度を保つために保冷車で温度管理をしながら市場へ出荷をしていますが、切みつばの生産が始まった頃はまだ集荷場や物流のシステムがなく、生産者自らが切みつばを背負い、電車に乗って都内の築地市場まで売りに行っていたそうです。

高級品の証

みつばは大きく分けて、切みつば、根みつば、糸みつばがあります。(※)一般的な食卓で食べられるのは、水耕栽培で生産された糸みつばが主流ですが、JA茨城みなみ 谷和原みつば部会で生産されているのは、切みつばです。9月半ば頃から畑に種を蒔き、越冬させた後、春頃からみつばの根株を掘り起こしてムロと呼ばれる屋内へ移し替え栽培します。この作業が大変重労働かつ重要で、切みつばの品質に大きく影響します。

そうして手間暇かけて生産された切みつばは、「香り」や「食感」も格別な高級品として出荷されていきます。部会長の豊島さんに特徴を伺ったところ「長く、大きく、茎が白くて真っすぐで、長さが27~28cmのものが私たちの切みつばで、出荷前の選別作業も全て手作業だから、種蒔きの時からずっと愛情を注いでいるんですよ」と答えてくれました。

伝統と技術

現在部会の平均年齢は75歳。最盛期には65名いた部員も現在は16名まで減少し、産地としての存続の危機が懸念されています。それでも、「長年培ってきた技術や経験を絶やすことなく、市場からの信頼を損なわずやっていきたい」と豊島さんは語ります。

日本の伝統的な食文化は高い技術によって支えられています。

※みつばは栽培方法の違いにより、大きく3つの種類に分けられます。
  • 切みつば...切り戻してから伏せこみ、ムロに移し替えて栽培。
  • 根みつば...土寄せ栽培。
  • 糸みつば...水耕栽培。

取材協力

JA茨城みなみ 谷和原地区営農経済センター

〒300-2451 茨城県つくばみらい市箕輪256

TEL :
0297-52-5394
FAX :
0297-52-2423
WEB :
http://www.ja-ibami.or.jp/

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