【番外編】東京都中央卸売市場 大田市場 初せり

平成27年1月5日(月)
東京都中央卸売市場 大田市場 初せり

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大田市場は、青果物・水産物並びに花きを取り扱う総合市場で、特に青果物においては日本最大の取扱量を誇り、広大な敷地は東京ドーム約8個分に相当します。東京湾を臨み、首都高速道路及び国道357号線に接し、陸・海・空の交通の要所にあるため、毎日全国から新鮮な青果物が集まってきます。

この日は2015年最初のせり(初せり)が行われるということで、大田市場に伺いました。普段はなかなか見る事のできない市場の様子をお伝えいたします。

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大田市場は、都内11か所にある東京都中央卸売市場のなかで最も大きい市場です。この大きな施設を東京都は開設し、市場の運営や施設の管理、業務の許可や指導を行っています。市場内では卸売業者、仲卸業者、売買参加者や関連事業者ほか、たくさんの人々が活動しています。

産地で生産された青果物はJAなどの出荷団体を通じ市場へと運ばれます。青果物は卸売業者から仕入れにきた仲卸業者や売買参加者に販売され、その後、スーパーや八百屋さんを通じ、消費者のもとへ届けられます。

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茨城県は都心から近く、また、大田市場から近距離に位置する産地であるため、その日のうちに、遅くとも翌日にはスーパーなどの店頭に新鮮な青果物を並べることができるという利点があります。

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入荷した青果物は、卸売業者のせり人によって、仲卸業者や売買業者に販売されます。1か所で大量の青果物を取り扱うことにより、流通にかかる物流コストが削減出来ます。市場における青果物取引は、せりで一番高い値段を付けた業者が競り落とす『せり取引』と、売り手と買い手が話し合いによって数量と価格を決める『相対取引』の2つに分けられます。

以前は、せり取引が大半を占めていましたが、法規制の緩和や、契約取引などの取り組みも進み、近年では相対取引が大きな位置を占めるようになってきました。

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市場の1日は長く、せり前日の午後より、明け方にかけて全国から続々と荷物が入荷してきます。明け方よりせりの準備が始まり、野菜は午前6時50分から、果物は午前7時10分から取引が始められます。せりが終わっても、販売された青果物の伝票処理や、翌日の注文の集計や入荷の確認、買人との商材会議や産地との情報交換などが夕方まで続くことも珍しくないそうです。そんな市場の1年は、初市・初せりとともに幕開けとなります。

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市場取材にご協力いただいた、東京青果株式会社の初せりは、川田代表取締役社長のご挨拶と手締めでスタートしました。市場関係者、生産者、消費者全ての人々が今年もいい年になるようにと願いを込め、威勢のいい掛け声で競売場はみるみる熱気に包まれていきます。「手やり」と呼ばれるサインを用い、値段と数量のやりとりが行われます。売り手も買い手も真剣勝負。年初早々、熱い取引の開始です。

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また、縁起物とされる「宝船」も初せりの見所です。この「宝船」は、室町時代に良い初夢を見たいという庶民感情から起こったものとされ、当時は野菜を豪華に積み上げるような贅沢はできず、絵で表現されていました。野菜を飾り始めたのは江戸時代の頃と言われ、野菜を扱う商人たちは正月の初荷に野菜で宝船を作り、お得意様におさめていたという記録があるそうです。

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市場では昭和40年代ころには初せりの縁起物としてあったそうです。大中小ある「宝船」はあっという間にせり落とされていきます。一番大きなものには、15万円の値が付けられました。

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東京青果株式会社
村野取締役部長

大田市場で取り扱う青果物は、1日におよそ3,300t。その産地別シェアでは数量ベースでは茨城県は第二位、金額ベースではトップに位置します。このことについて、東京青果株式会社 村野取締役部長にお話をうかがいました。

JAグループ茨城について

茨城県は、私たち東京青果にとっても一般消費者にとっても、なくてはならない大生産地であり、身近な生産地でもあります。震災からの立ち直りも早く、迅速に対応していただき感謝しています。また茨城県内での各生産地では、それぞれの特徴をいかしたブランド化が進んでおり、安心して食べる事のできる青果物として浸透してきています。

また、それぞれの産地で自主的に品質管理や品質検査も行われているため、私たちも安心して販売することができます。農業のプロとして今後もその取り組みを継続して、さらに高いところを目指してほしいと願っています。

これからの展望について

今後薬事法が緩和される見込みで、今まで青果物に対する機能性などを掲示することはできませんでしたが、今後それも可能となるため味の数値化や、機能性をどう訴求していくかがひとつのカギとなるでしょう。

青果物の持つ力には、大きな可能性が含まれていると思います。

市場は産地の味方であり、卸売市場は産地と消費者を結ぶコーディネーターだと語ってくれた村野取締役部長。私たち、JAグループ茨城に対するエールと期待の大きさを感じる事ができました。ありがとうございました。

今後とも首都圏の一大消費地を支える産地として、皆さんの期待に応えるべく取り組んでいきたいと思います。JAグループ茨城の青果物をどうぞ、よろしくお願い致します。

取材協力

東京青果株式会社

〒143-0001 東京都大田区東海3-2-1

WEB :
http://www.tokyo-seika.co.jp/

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