小菊は仏花として利用される事が多いので、8月のお盆や9月のお彼岸の時期は、出荷量が3倍から4倍に増えます。
茨城県は小菊出荷量が全国3位で責任産地として重要な役割を担っています。

定年後、小菊作りへ

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JA 新ひたち野 花き部会
部会長 鈴木征勝さん

今回は茨城県石岡地域にあるJA新ひたち野 花き部会 部会長の鈴木さんの圃場へお伺いしました。

鈴木さんが生産されているのは、お盆やお彼岸の時期に仏花として使われる『小菊』です。
この地域では約50年前から小菊の栽培がはじまり、今は30人ほどの小菊生産者がいます。鈴木さんは定年後、小菊の生産をしていた知人から株分けしてもらい、指導を受けたそうです。養豚業からの転身でスタートした小菊生産も今では大ベテランです。
黄色・赤色・白色の小菊を3色のバランスを取って生産しています。

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小菊ができるまで

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鈴木さんの小菊は5月から10月の間出荷されます。気候や品種によりますが、苗を植えてから収穫まで約3か月かかるそうです。
「茎は太くしまって曲りのないもの。茎・葉・花のバランスの良いもの。病虫害のないもの」が品質の基準です。重量、草丈によって2L,L,M,Sの規格があります。
特に重量は大切で、収穫した時に茎の太さを確認し、重量が規定の数値に達しているかどうかを判断します。この判断を鈴木さんは瞬時に見定め、小分けにしていました。

苦労されているのはハウス栽培で行う苗作りで、天候を気にしながら10日~2週間は目が離せないと仰っていました。
また、小菊は、低温や晩霜による障害を受けやすいそうで、春先でも注意が必要です。
その他、出荷までの間、アブラムシやダニなどの害虫や白さび病などの病気対策にも注意を払います。

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お盆、お彼岸は大忙し

小菊は仏花として利用される事が多いので、8月のお盆や9月のお彼岸の時期は、出荷量が3倍から4倍に増えます。
この時期に合わせて出荷させるために、農業改良普及センターが算出した点灯日と消灯日を元に、生産者は露地電照栽培を行っています。
小菊は日照時間が短くなると開花する短日性植物です。その性質を利用し夜間一定の時間光を当て、日照時間を長くすることで開花の時期を調整します。お盆とお彼岸の小菊は、このようにして出荷されています。
計画的な生産と出荷が可能になるばかりでなく、品種の固定や品質も良くなるというメリットがあります。さらに、労力の分散や開花時期が揃うので作業性も向上するそうです。

JA新ひたち野農業協同組合ホームページより「電照のメリット」参照

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選ばれる産地を目指して

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JA新ひたち野の小菊なら間違いないと言われるようになりたい」と言う鈴木さん。
小菊は全国で生産が可能だと言います。その中で茨城県は小菊出荷量が全国3位で責任産地として重要な役割を担っています。JA新ひたち野の小菊も主要生産地として県銘柄産地指定を受け、東京大田市場を始め、北海道・静岡等全国に年間約500万本の小菊を出荷しています。
部会では「土づくり」「栽培面積の拡大」「品質の向上」「価格の安定」に取り組んできました。「JA新ひたち野の小菊ならば安心だ」と言っていただけるように、日々努力を重ねているのです。

鈴木さんも「量は力なり、質は信用なり」の言葉を胸に、小菊作りに励んでいます。

取材協力

JA新ひたち野 営農経済部 ひたち野営農経済センター

〒315-0035 茨城県石岡市南台3-21-14

TEL :
0299-56-5802
FAX :
0299-56-5803
WEB :
http://www.shin-hitachino.com/

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