"にがうり"との出会い
JA 茨城むつみ 三和地区野菜生産部会では、平成15年から青年部会が中心となって"にがうり"を生産されているそうです。現在では、三和地区野菜生産部会に総和地区の方も加わり、35名の生産者がいます。
"にがうり"が広まった経緯を中村さんに伺うと、きっかけは宮古島に縁のある方と知り合ったことだと、懐かしむように話してくださいました。
"にがうり"は、「ゴーヤ」の名前で沖縄の野菜として知られ、生産も沖縄や九州が中心でした。沖縄ブーム・健康食ブームにより、本州での需要も高まっていきました。しかし一方で、沖縄では、台風など自然災害も多く安定した出荷が難しいという問題があったそうです。
中村さんは、ビニールハウスで "にがうり"を生産してほしいと言われ、同年代の仲間とともに"にがうり"の生産を始めたのです。その後緑菜会(JA青年部会)中心での生産がスタートしました。
地域に愛されるブランド「惚ろにがうり」
三和地区の"にがうり"の品種は「えらぶ」で、肉付きが良く苦すぎないのが特徴で、「惚(ほ)ろにがうり」の愛称で親しまれており、味の特徴である「ほろにがさ」を見事に表現しています。愛称を公募したところ100点近い応募があったそうで、地域からの関心の高さが窺えます。それに応えるようにと、生産者は日々努力しています。
中村さんも、「消費者に選ばれ親しまれるブランドとして売り出していきたいとおっしゃっていました。
頑なまでに品質にこだわる
生産で苦労されていることはありますか?と尋ねると、「苦労と思うことはないが、品質の良いもの厳選して出荷することが一番難しいかもしれない。そのために、プライドを持つことが大事」とおっしゃっていました。
三和地区では、大変厳しい選定を経て出荷しているそうです。その結果、品質にこだわりブランド力を高め、市場からの信頼と高い評価を受けているのです。
まっすぐな実をつくるために使用する「スマート」と呼ばれる整形具を一つ一つ手作業で取り付ける作業も大変です。このように手をかけて育てても、曲りのある実はすぐに切り落とすのです。
時には出荷量にも影響を及ぼすかもしれない、それでも品質にこだわり続けているのです。
「プライドを持つこと」その言葉に、中村さんの意思の強さを感じました。
"にがうり"がもたらしたもの
今では"にがうり"の重要な産地の一つとなり、県の青果物銘柄産地にも指定されており、京浜市場を中心に大変高い評価を得ています。
"にがうり"の栽培は、若い後継者が中心となって0からのスタートでした。これまで代々受け継がれてきた品目とは違うやりがいを、若手生産者は感じているようです。
出荷時期には圃場巡回をおこない、施肥や整枝、病害虫防除などを生産者全員で検討します。栽培経験が浅い生産者でも品質のレベルを保てるよう工夫し、収穫量と品質の向上に取り組みます。
また、情報交換の場として出荷者会議も開催しています。
平成22年度には、生産者の奥さま達を対象に「三和ニガウリカレッジ(農村女性大学)」を開講し、生産者同志の絆が深まり、部会の発展に繋がったのだそうです。そのほか、5月8日(ゴーヤの日)に出荷を目指す部会員や、にがうりコンテスト「N-1グランプリ」を開催するなど、部会の活気を感じました。
中村さんは、「仲間という意識を持って部会員同志が力を合わせることができるようになった」とおっしゃいます。ほかの野菜でも同様に部会が一つになることが、地元の農業の発展に繋がると期待しているのだそうです。
夏といえば"にがうり"
厳しく選定され箱に納められた「惚ろにがうり」。艶があり、まっすぐで肉付きが良いものばかりです。出荷先は東京が約7割、新潟や東北が約3割です。平成26年度には販売総額1億を超えました。
出荷時期は、ハウス栽培で6月上旬から11月上旬頃まで、露地栽培で6月下旬から9月中旬頃までだそうです。
ビタミンCが豊富で健康食としても注目され、美容にも良いと言われる"にがうり"。
中村さんは、「夏バテ予防にウナギのかわりにぜひ食べてください!」と、笑顔でおっしゃっていました。
取材協力
JA茨城むつみ 三和地区営農センター
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