冬の味覚、ちぢみほうれん草

ひぬまセンター ちぢみほうれん草部会
海老沢 哲也さん
寒さがピークを迎える1月頃に最も美味くなる野菜が、冬季限定のちぢみほうれん草です。JA水戸ひぬまセンターは、涸沼の豊かな水と気候に恵まれた茨城町にあり、多くの野菜を栽培しています。ちぢみほうれん草の出荷量は茨城県内でも上位だそうです。東京築地市場や水戸市場を中心に、通常12月~2月中旬まで出荷されます。
ちぢみほうれん草の特徴は、葉が肉厚でちぢれており甘みが強い点です。露地栽培で寒さに晒すことにより、ほうれん草は自分の身を守るために肉厚になった葉を縮ませ甘みが増します。アクが少なくカロテン・ビタミン類・鉄分・カルシウムなど栄養価が高い、美味しいほうれん草です。
農業の魅力を知り、農家に転身を決意
取材させていただいた海老沢さんは、3年前まで大阪でサラリーマンだったそうです。ここ茨城町で生まれ育った奥様との出会いをきっかけに、農業の世界を知るようになりました。そして結婚を機に、奥様のご実家で農業を本格的にスタートさせたのです。
ゼロからのスタートでしたが、わからないことはどんどん質問しノウハウを吸収していったそうです。いきいきとお話しをする海老沢さんからは、農業に対する熱意が伝わってきました。
正解のない農業、家族が大きな支えに
海老沢さんはご家族の絆、特に奥様に心から感謝しています。奥様について、海老沢さんは「農業に対する目標や想いを受け止めて、自然にサポートしてくれる良き理解者」だと言います。また、1歳10か月になる息子さんも圃場で仕事をする海老沢さんの姿を見ているそうです。このように家族の絆を感じることができるのも農業の醍醐味の一つかもしれません。
農業には正解がなく、毎年、気候など常に同じ条件ではなく気を抜くことができません。だからこそ、このような家族の絆は大きな励みとなっています。海老沢さんは、今年の暖冬を見通して種まきの時期を調整しました。種まきの時期の判断次第で品質が変わってしまうことがあるのですが、海老沢さんの圃場では品質の良いちぢみほうれん草がたくさん生育していました。このように判断一つで大きく変わってしまう、正解がない農業の難しさを実感しながらも、そこにやり甲斐を感じています。
糖度10度の甘みを是非味わってほしい
部会では、栽培講習会や目揃会を毎年開いています。特に肥料設計が重要で、液肥や窒素を適量与えることが大切だそうです。
収穫したちぢみほうれん草は、逆さの状態で一晩置いておきます。通常、ほうれん草は株のまま縦に袋詰めされますが、ちぢみほうれん草は葉を広げて袋詰めします。この袋詰めは手間のかかる作業の一つですが、海老沢さんは器用に難なくこなすことができるそうです。
冬の恩恵を受けた栄養豊富で甘いちぢみほうれん草は期間限定です。糖度は8度以上という規定があり、特に1月以降は10度以上にもなります。 海老沢さんは「この甘みは今しか味わえません!ぜひ一度、騙されたと思って食べてください」と自信を持っておっしゃっていました。
取材協力
JA水戸
南部営農資材センター ひぬまセンター
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