国産ハーブの第一人者

代表取締役 霜多 増雄さん
今回は、ハーブ類を生産する「シモタ農芸」を取材させていただきました。代表の霜多さんは、約40年におよぶ研究によるハーブ栽培の功績が認められ、平成27年に"緑白綬有功章"を受賞されました。
シモタ農芸は「無農薬、無除草剤、無殺菌剤」「自家製完全堆肥の肥料」「野菜の低硝酸塩濃度を実現」「抗酸化力の高い野菜」などにこだわっています。これらを実現させたのは、実は"科学"だそうです。香りや旨みになる成分や、有害な物質を元素レベルで数値管理するために、検査用の機器も導入しています。
「シモタ農芸」ではインドネシアなどから留学生を毎年受け入れています。また、農家から持ち込まれた農産物の成分調査も積極的に行い勉強会も開いているそうです。自分の持つ知識や技術を惜しむことなく伝え、日本の農業全体を良いものにしたいという想い、食事をする人々が安心して食べ、健康になるものを作るという志を感じました。
ミントから始まったハーブ栽培
霜多さんがハーブと出会ったのは約40年前、父親とのちょっとした喧嘩で家を飛び出し、海外旅行に出かけた時だったそうです。イギリスに行こうとしましたが最終的にはフランスにたどり着きました。実は霜多さんは京都の大学への進学も決まっていましたが、事情があり断念したそうです。望む進路を歩めなかった無念さやさまざまな葛藤があったのでしょう。そんな時に、食文化の発展したフランスに行くことになったのです。
そこで料理の美味しさに感動した霜多さんは、日本も今後、洋食文化が一層浸透していくことを確信しました。そして、帰国すると少量のスペアミントから栽培をスタートさせます。当時、日本でハーブはほとんど栽培されていませんでした。栽培方法も確立されていないということですから難しい挑戦です。しかし、だからこそ霜多さんは「大きなチャンスである」と考えたのだと言います。
農学の限界、科学との出会い
ハーブ類の販路を開拓し始めると、霜多さんは帝国ホテルの料理長など多くの料理人と出会いました。霜多さんはこうした出会いに助けられてきたと言います。もう一つの大きな転機となったのが、新潟津南村でハーブ栽培に携わった時に知り合った薬科大の科学の講師との出会いでした。
霜多さんは、作物の品質や連作障害の問題は土壌にあると考え、いち早く有機農業の考え方で土壌作りに取り組みました。そのような中で、初めて科学の観点から意見を聞き、問題を解決する糸口になると感じたのでしょう。それまで農学に基づいてやってきた事が覆されることも多く、20年は失敗ばかりだったそうです。長い年月をかけてデータ収集し、土壌作りから始まる栽培技術を確立し、「硝酸塩濃度が低く抗酸化力が強い野菜づくり」を実現しました。
『硝酸は土壌を含む自然界に広く存在し、また作物が生育するのに必要な成分です。野菜は、窒素やリン酸などの養分を吸収して成長しますが、窒素肥料に含まれる硝酸塩は根から吸収され葉に移動し、光合成によってタンパク質やアミノ酸などの栄養になります。硝酸塩を通常摂取する程度では、それ自体は特に人体に有害なものではありませんが、硝酸塩濃度が高い作物を食べることによって人体へ悪影響をおよぼすという不安の声があがっています。また、硝酸塩濃度の高い野菜は、味に"エグ味"を感じるほか、日持ちがしないなどの欠点が指摘されています。
(シモタ農芸HPより)』
シモタ農芸の野菜作りは"科学的根拠(エビデンス)によって、安全性や豊かな味わいを立証していくこと"なのです。
"エビデンス(科学的根拠)"を
明言できる野菜
シモタ農芸で作られたハーブや野菜は、鮮度、味、安全性、どれに対しても科学的な数値でその根拠を説明することができます。霜多さんは、数値化すること、データを蓄積し分析することが大切だと言います。堆肥や畑の土を分析すれば、どこへ行っても同じ土壌を作ることができるのだそうです。適量の堆肥で済めば無駄もなくなる、ともおっしゃっていました。もちろん、土づくりは簡単なものではありません。だからこそ何十年も取り続けたデータは霜多さんの財産とも言える貴重なものです。
実際にシモタ農芸では、現在取手と那須塩原で栽培をしています。場所を変えてもかわらぬ品質で周年出荷をしていくことができるのも、蓄積してきたデータあってこそなのです。
世の中を動かす農業
霜多さんは、フランス料理など洋食業界に貢献しました。都内のイタリア料理店にハーブを半年間無料で1ケース提供し、イタリアンのブームにも重要な役割を果たしていました。また、チンゲンサイやターサイの栽培を確立させたのも霜多さんでした。霜多さんは「人より早く、先にやって技術確立をする。リードしていくこと、先を読むことが大事」とおっしゃっていました。
そして今、霜多さんは「健康になる野菜作り」を目標としています。
健康になる野菜やハーブを気軽に食べる事ができるシモタ農芸の「サラダセット」がお勧めです。JA茨城みなみの直売所「夢とりで」、「ポケットファームどきどき つくば牛久店」で購入できます。入荷は不定期ですが、ご予約も可能ですのでぜひご賞味ください。
取材協力
株式会社 シモタ農芸
〒302-0036
茨城県取手市貝塚192
- TEL :
- 0297-78-8239
- FAX :
- 0297-78-7661
※現地での販売は行っておりませんので、
ご了承ください。