少数精鋭が生産を担う、
八千代地区の『かぶ』

根菜部会 秋葉 政利さん
JA常総ひかり八千代地区の根菜部会では、秋葉さんを含む2名が「かぶ」を生産しています。
以前は「かぶ」の生産者も多くいましたが、レタスなどの比較的手間のかからない葉物への移行が進み、2名となったそうです。
茨城県内全体をみても生産者が少ない「かぶ」ですが、秋葉さんは『以前と比較しても生産者や栽培面積は減少しているが、「かぶ」はまだまだ需要があるため、継続して「かぶ」を生産していきたい。「かぶ」にはポジションがある。隙間産業として成功している』と話してくれました。例えば漬物に欠かせないなど、「かぶ」には需要があるのです。
希少な生産者となった秋葉さんの存在は大きいようです。
用意された環境を最大限に活かす
秋葉さんは、八千代町で新規作物導入の政策としてビニールハウスが導入されたのをきっかけに、「かぶ」栽培をスタートさせました。
また、霞ヶ浦用水の普及により水を安定して確保出来るようになったことも大きいそうです。
八千代地区の主要作物の一つに、全国一位の生産量を誇る白菜があります。秋葉さんもかつては白菜を生産していたそうです。白菜は、価格の変動も大きく5~6倍も変わることがありますが、「かぶ」は価格変動が少なく安定性があることも、メリットの一つなのだそうです。
今では「かぶ」に特化し、7月~9月を除くほぼ周年で出荷をしています。秋葉さんの圃場には、青々とした「かぶ」の葉が一面に広がっています。
無農薬の安心野菜
秋葉さんの「かぶ」は無農薬です。アブラムシやコナガの対策は苦労するそうですが、何よりも安心して食べる事を第一に、消費者目線で無農薬栽培にこだわっています。
雑草にも苦労があるそうで、ビニールハウスで栽培をスタートさせてから3年程は雑草との闘いだったのだとか。背が高くなる夏草などは特に注意が必要です。
しかし、冬場の霜除けのためにあえて残すなど、必要以上に駆除するばかりではなく共存による工夫もしています。
最も重要なのが、水分と種まきのタイミングだと言います。7月から土壌消毒や夏草対策をし、8月半ば頃に種を蒔いてマルチ(土の表面を資材で覆うビニールシート)をかけ、毛管現象によって発芽までの水分を確保します。その後は冠水チューブを使って水分を調整します。
冬から春にかけて美味しい『かぶ』
収穫した「かぶ」は、主に水戸やいわき方面に出荷されます。種を蒔いてから早い時期は45日程、遅い時期には120日程で収穫されます。
秋葉さんは1日に約1,000束を出荷しているそうです。
「かぶ」は収穫後に水で洗うなど、調整作業に手間がかかります。秋葉さんはご家族で作業をするそうです。「最近では息子も農業に携わるようになり、将来が楽しみだ」と話してくれました。
部会としても、秋葉さん達2名の「かぶ」生産者で産地視察に行くなど、研修を行っています。「かぶ」は根の部分だけではなく、 葉も栄養豊富でおいしく食べることができます。七草粥に入れるとされる春の七草のひとつ「すずな」は「かぶ」のことです。冬が旬の野菜ですが、露地栽培がスタートする3月4月頃のかぶも美味しいそうです。
JA常総ひかり 八千代地区の「かぶ」を皆様もぜひ、ご賞味ください。
取材協力
JA常総ひかり 八千代支店
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