計画的な周年栽培

部会長 石山和夫さん
今回は、私たちの身近な野菜の一つである"ねぎ"を生産している、JAつくば市茎崎ネギ部会の石山さんの圃場を尋ねました。
茨城県のねぎは全国3位の出荷量(農林水産省野菜生産出荷統計より)で、特に県南西部の地域で盛んに栽培されています。その中で、JAつくば市茎崎ネギ部会は計画的な周年栽培を実施していることで知られています。
茎崎ネギ部会は平成2年に発足しました。
以前はスイカやメロンを栽培していましたが、計画的な出荷が難しい作物でした。
万が一、天候などの影響で不作になれば生産者が大きな打撃を受ける事もあって、産地では計画的に出荷できる作物を探していました。そこで土壌との相性も良く、品種を組み合わせれば周年栽培も可能である"ねぎ"に注目し、数名で栽培を始めました。
この地域は、平坦な地形と河川が多い地域を活かし、過去には米や麦を主体とする農業生産を展開していましたが、近年では露地野菜の生産が盛んとなり、特にねぎが多い地域です。
茎崎ネギ部会は、平成17年に県銘柄指定産地の指定を受けました。品質もさることながら、1年を通して安定した出荷が市場からも高い評価を受けています。
鍵を握るのは土壌作り
ねぎの周年栽培は、春夏ものと秋冬ものの作型を組み合わせます。栽培には最低でも半年、長ければ8~9か月の期間が必要です。その為、春夏ものと秋冬ものを同時進行で栽培しなければなりません。
連作障害を防ぐため、品種に合わせた土壌作りが必要です。その為に重要なのが土地の確保です。石山さんも、土地の確保には苦労するとおっしゃっていました。しかも、圃場が広大であればあるほど、管理も難しくなります。
計画的な周年栽培には、高い技術が必要です。
日本の食卓に欠かせない野菜
ねぎは、日本古来よりあったとされ、現在まで日本人の食卓に欠かせない野菜です。特に冬には鍋物などに使われることから需要も多くなりますが、一年を通してたくさん消費されます。
茎崎ネギ部会からは、主に水戸市場、浦和市場に多く出荷され、その他いくつかの京浜市場など多方面に出荷され、毎年約2億円もの売上を誇ります。最盛期には100名程の部会員がいた時期もありましたが、現在は34名の部会員で、周年栽培を続けています。部会員数は減っても、安定した出荷と品質を守り、市場からの信頼に応え続けています。
取材した日も、集荷場には真っ直ぐに伸び色艶の良いねぎがたくさん箱詰めされていました。
石山さんは、「一年中美味しいねぎを作っているので、一年中、たくさんねぎを食べてほしい」とおっしゃっていました。美味しい茎崎のねぎを見かけた際には、ぜひご賞味ください。