地域の特徴

部長 張替 武さん
JA岩井がある坂東市は、茨城県の南西部に位置し、年間平均気温14.2℃と穏やかな気候に恵まれており、全国有数のレタスの産地です。2月から5月までの春レタス、10月から12月までの秋冬レタスの年二回の栽培を行っており、その出荷数量は年間を通じて全国トップレベルの200万ケースにも及びます。出荷先は関東・京浜地区が7割と圧倒的に多く、北海道・関西などの遠隔地が3割となります。
大消費地の東京から50km圏内と近い為に、出荷したレタスは翌日の朝には店頭に並べることが出来るそうです。
「こだわり惚レタス」ブランド
「惚レタス」というブランドを目にした事がある方も多いのではないでしょうか。
桃色や紫のハートがトレードマークの「惚レタス」は、JA岩井を含む県西4つのJAで作り上げたブランドレタスです。「消費者の皆様に惚れ込んでもらえるようなレタスを栽培したい」という生産者の思いから名付けられました。みずみずしくて鮮度感があり、葉肉が柔らかい特徴を持つ惚レタスは、市場関係者からの評判も非常に高いそうです。
他にも独自のキャラクターによる販売戦略も大きな特徴の一つです。JA職員で結成されたキャラクター「もも惚れクイーン's」や「ネッキーマン」によるイベントでのPRや、大型トラックの側面に各キャラクターをプリントした「ラッピングトラック」を走らせるなど、産地の更なる認知度向上を目指しています。
また、動画サイトYouTube専用チャンネルの開設、子供が覚えやすい販促ソングを作成するなど、インターネットサービスとのクロスメディア展開にも力を入れています。
惚レタス専用の土づくり
2018年に結成50周年を迎える岩井農協園芸部の部員数は現在423名。その内、レタス農家さんは半数以上の288名。春レタスから夏ねぎ、そして秋冬レタスと、2品目の作物を柱とし、年間を通じて土地の効率的な利用を図っています。また、11年程前からJAオリジナルの有機質含有量70%の惚レタスプレミアム肥料を採用し、連作障害対策として地力増進効果のある緑肥作物のソルゴーやえん麦、からし菜を作付するなど、健全な土づくりに重点を置いた生産を追求しています。
生産者の顔が見える安全・安心の提供
安全・安心への取り組みとしては、トレーサビリティによる生産履歴を確認できる防除日誌(青果物栽培管理台帳)の記帳、定期的な残留農薬・放射能検査の徹底、GAP(農業生産工程管理簿)チェック項目の強化という環境負担軽減に配慮した「環境保全型農業」にも力を入れています。JAでは出荷容器にも配慮し、レタス包装時に排出されるフィルムくずの無料回収の実施や、ホッチキスやテープを使用しない「ノーステープル段ボール」使用による出荷など、人と環境にやさしい農業を展開しています。
また鮮度維持にもこだわり、当日ラッピングされたレタスは14時までに管内に2か所ある予冷センターに持ち込まれます。持ち込まれたレタスは8等階級に仕分けされ、すぐに真空予冷装置という大型の冷蔵機械で5℃で約30分かけて、芯まで冷やします。こうする事で採りたての鮮度を保ったまま、全国の食卓へ向けて届けることができるのです。
だから、JA岩井のレタスはみずみずしい!!!
長年の経験から定植時期を見定める
部長を務める張替さんはレタス栽培歴45年。1.6ヘクタールもの広大な土地で結球レタスと非結球のリーフレタスを栽培しています。ご両親は昭和20年代から葉たばこ栽培を行って来たそうですが、時代の流れと共にレタスやねぎの生産に移られました。
御年87歳のお母様は現在も農作業に精を出す程お元気で、出荷時には張替さんの手伝いをしてくれるそうです。
種蒔きの季節にもよりますが、レタスはおよそ2か月半から3か月で出荷を迎えます。
ご自宅近くのハウスでは、レタスの小さな苗がすくすくと育っていました。種を蒔いて高さ5cm程、本葉3枚になったら植え時です。特に今シーズンの様に台風が多い年には暴風ネットで幼い苗を守りながら定植していくそうです。横幅135cmのマルチに株間30cm畝間27cmの4条植えにすると「風通しがよく、需要の高い良品質な2LやL玉が育ちやすい」と張替さんはおっしゃっていました。
今年は、夏から秋にかけ連続で上陸した台風により、各産地で甚大な被害がありました。JA岩井も例外では無く、日照不足と長雨の影響で、出荷当初はやや小ぶりなレタスを出荷していたそうです。10月20日頃には例年通りの鮮やかな緑の重量感があるレタスが安定して出荷出来る様になりました。
「やはり自然を相手に作る物ですから天候に左右されます。丹精込めて作ったものを、全部出荷出来たらいいんですが、なかなか難しいです。」と張替さん。
レタス栽培のよろこびは
「今年はどんなレタスが出来るかな?」と丹精込めて苗を作り、需要が多いL規格を中心に収穫出来た時に「今年も満足したレタスが出来た!」と遣り甲斐を感じると言います。レタスは露地栽培の為、天候の影響を大きく受けます。その都度、試行錯誤するからこそ、仕事に張り合いを感じるのだそうです。
JAのサイトにも美味しく食べられるレシピが掲載されていますので、シャキシャキとしたみずみずしい食感の惚レタスを是非味わってみて下さい。
取材協力
JA岩井 野菜予冷センター
〒306-0641 茨城県坂東市鵠戸427-1
- TEL :
- 0297-35-8861
- FAX :
- 0297-35-8850
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- http://www.ja-iwai.jp/