JA新ひたち野ねぎ部会は今年で設立2年目を迎えます。30年前より長ねぎ栽培が盛んに行われており、市場に出荷しています。平成26年にJAと生産者の話し合いをきっかけに現在の部会出荷体制となりました。

部会結成以前からの長ねぎの産地

JA新ひたち野ねぎ部会は今年で設立2年目を迎えます。30年前より長ねぎ栽培が盛んに行われており、市場に出荷しています。
平成26年にJAと生産者の話し合いをきっかけに現在の部会出荷体制となりました。今回は縁起の良い赤と白の長ねぎを栽培されている2軒の農家さんにお話しを伺いました。

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JA新ひたち野 ねぎ部会
部会長 原田 安城さん
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JA新ひたち野 ひたち紅っこ生産者
小松崎 やす子さん

品質向上を目指すために

原田さんが部会長を務めているねぎ部会は現在74名。今年度から美野里地区も加わりました。毎年土壌診断を欠かさず、有機質の肥料を使用した環境に優しい栽培に力を入れています。この取り組みが認められ、今年度は念願の「エコファーマー」認定を得ることができました。

JA新ひたち野ねぎ部会は、赤ねぎと白ねぎの両方を栽培している県内でも珍しい部会です。赤・白ねぎごとに目揃え会を実施し、生産の安定と品質向上を第一としたねぎ作りに努めています。また、定期的に現地検討会を開催し、全農いばらきの顧問が生育状況のチェックから、病害虫防除・新品種等についてのアドバイスまで部会にかかわります。「顧問が手伝ってくれるになってからというもの品質が格段にあがりました。検討会以外でも相談すると圃場に来てくれて、適切なアドバイスをしてくださるので本当に助かっています。」と原田さんご夫妻。スペシャリストと農家との強い信頼関係が築かれています。

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ポイントはまっすぐなねぎ

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ねぎ部会 部会長の原田さんが就農したのは10年前。長年鉄道のエンジニアとして活躍していましたが、定年退職をきっかけに義父の跡を継ぎ農家へと転身しました。当時は農業の知識がなく、奥様が講習会で学んだメモを元に夫婦二人三脚で苦労しながら栽培のノウハウを学んだそうです。今では二人分の作業量を考え、ねぎが一番良い状態で出荷できるように約20日ずつ播種をずらし、一日で20ケース、多い時には年間500ケースほど出荷できるようになりました。

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原田さんの白ねぎは「泥ねぎ」として出荷します。泥ねぎの利点は、泥により表面が乾燥しにくく長期に渡り鮮度を保つことができることです。
太さと長さも品質の一つの目安になりますが、一番大切なことは「いかに肌がきれいで茎がまっすぐなものを育てられるかにある」と原田さんは言います。
今年のように干ばつや台風など極端な気象では、露地栽培のねぎは影響を受けやすく、曲がりや溶けてしまうものが増えてしまいます。それを防ぐために成長に合わせて土寄せをすることで、軟白部が長くまっすぐに育つ特徴があります。原田さんは土寄せのたびに、風で曲がってはいないか、生育状況に目を光らせているそうです。
一本200gほど、軟白部30cm以上になったら収穫を迎えます。抜いてすぐに包装してしまうと泥やねぎの水分が袋内にこもり、腐りやすくなってしまうため、一日おいて泥を乾かした後、規格ごとに一袋1kgの重さに調節し包装出荷します。

赤ねぎのこだわりの産地を目指す

「ひたち紅っこ」という赤ねぎの品種をご存知ですか?こちらはJA新ひたち野が自信を持ってお薦めするオリジナルブランド野菜の1つで、今から11年前に本格的な栽培が始まりました。

最大の特徴は、鮮やかな赤色です。従来の赤ねぎは発色にばらつきがあり品質を統一しにくいという問題がありましたが、この「ひたち紅っこ」は全体の7割以上が鮮やかな赤に発色するよう品種改良され、美しい発色は市場での評価も非常に高いそうです。

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現在赤ねぎ生産者11名で年間2.5トンほど市場へ出荷しています。JAとしても普及活動に力をいれており、昨年はセブンイレブンとタイアップし手巻きおにぎり「焼ねぎ味噌」の具材に使用されました。今後もいろいろな企業とのコラボレーションが期待されます。

ねぎ栽培を始めて13年の小松崎ご夫妻は、部会の中でも特に品質の高い赤ねぎを出荷する農家として有名です。以前は「赤ひげねぎ」を栽培していましたがJAの普及活動に応え、今では2か所の圃場で「ひたち紅っこ」を栽培しています。

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太さ・長さ・色の鮮やかさで等級が異なり、高品質の規格は発色部分が20cm以上で出荷されます。乾燥するとパリパリと皮がはがれてしまうため、出荷前に丁寧に泥を落とし、濡れた状態で薄皮を剥き、見栄えをよくする工夫をしています。「鮮やかさをだすための薄皮の剥き加減が難しい」と奥様は言います。剥き方によっては赤が薄れ、ピンク色になってしまうこともあり、どこを剥けば良いか見極めるのには長年の経験で培った熟練の目が必要とのことです。

また苗からの栽培や、定植時に赤い色の苗を選び植え付けてみるなど、試験的な取り組みを独自に行っているそうです。「今後も改良を重ねていきたい」と小松崎さんは語ってくれました。

ご主人は土作りや収穫など管理、奥様は草取りや出荷準備と、各自得意分野を分担し、連携して作業をしています。そのため作業効率が良く、1日の出荷量が他の農家さんより多いそうです。たまに試し掘りで赤みと収穫時期を見極めます。12月の凍てつくような寒さに当たると、ぐっと色づきが進みます。

どんな料理にも合う「長ねぎ」

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「すぐには難しいかと思いますが徐々に生産量を増やし、販売単価を上げていきたいと思います。そのために消費者の方や市場に支持されるようこれからも部員総出で減農薬や土作りにこだわり、独自の工夫でアピールしていきたいですね」と原田さんは今後の意欲を語ってくれました。

「泥ねぎ」は斜め切りにし鍋や肉豆腐にいれて柔らかさや風味の良さが楽しめ、細いサイズでは5cmずつ切りお湯でゆでた後に酢味噌からめて「ぬた」にすると食べやすいそうです。「ひたち紅っこ」は葉まで柔らかく熱を通すとさらに甘みが増す性質を活かし、かきあげにすると風味とともに色あいが楽しめます。ねぎ特有の辛さを感じないため、みじん切りにした赤ねぎの上に鰹節とお醤油をさっとかけるご飯のお供としても合うとのことです。

「泥ねぎ」「ひたち紅っこ」は、11月下旬~3月頃まで京浜市場に出荷されています。また、JA新ひたち野の農産物直売所「大地の恵み」でも購入できます。 皆さまも縁起の良いJA新ひたち野の紅白ねぎで、新年の食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか?

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取材協力

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