国内で圧倒的なシェアを誇るれんこん栽培

れんこん部会連絡会会長
小林さんと奥様
国内でのれんこんの生産状況は茨城県が圧倒的なシェアを占め、そのほとんどが北浦を含む、霞ヶ浦沿岸で栽培されています。低湿地地帯で土壌が肥えていることと、水温が高いという自然条件が歯触りのよいれんこんを育てています。
れんこんにはさまざまな品種があります。ハス田により成長具合が変わるため、相性を考えて品種を選び作付します。
今回伺ったJAなめがた北浦地区では主に金澄34号・金澄36号・ぐりぐり(幸祝)と呼ばれる品種が多く栽培されています。
早朝からの掘り上げ作業
れんこん部会連絡会会長の小林さんと奥様は、長年約2ヘクタールのハス田でれんこん栽培に力を入れてきました。小林さんは栽培歴11年。れんこん農家だった父親の引退を機に、早期退職し家業を継ぐことを決意されたそうです。現在は奥様と二人で、年間約8,000ケースを市場へ出荷しています。
収穫作業は毎朝7時からはじまります。寒さが厳しくなるほどハス田には分厚い氷がはり、氷上で飛び跳ねながらやっとのことで氷を割り収穫を開始します。
「ドライスーツの中にカイロをたっぷり貼りながら作業をしてもすぐに氷水で手がかじかみます。行方市は雪は降りにくいものの冬場はひどく冷え込むのでつらいところですね。」と奥様。
ハス田の中では竹でできた足場を頼りに手探りでれんこんを探し、れんこんに当たらないよう細心の注意を払いながら水圧でまわりについている泥を飛ばし収穫していきます。
泥に覆われた水中でれんこんを見つけるのは至難の技ですが、小林さんは先端や節についた新芽を触るだけでれんこんの大きさや向きがわかるそうです。長年栽培に携わってきたからこそわかる熟練の技術です。収穫したれんこんは毎日16時の出荷に間に合うように専用の洗浄機で洗った後、節についた芽を削り階級ごとに選別します。
種バスの植え付けにも技術が必要
小林さんのハス田ではえのき茸の培地を使った元肥を使いしっかりと土作りをした後、4月半ばから5月にかけて種蓮を植え付けます。二人での作業量を考慮し、すべてを一度に植えるのではなく時期を少しずつずらしながら栽培する工夫をされているそうです。
植えるのは早すぎても寒さで成長が進まず、遅いと芽が伸びすぎて植えにくくなるそうです。
また9月の収穫までに追肥や天敵の鳥獣・アブラムシなどさまざまな対策をしなければなりません。特に大変なことは、夏場のハス田に咲く赤いハスの花を抜くことだそうです。本来この地域で作っているれんこんの花は白い色ですが、知らず知らずのうちに赤い日本バスとよばれる別品種が生えてしまうそうです。赤白と美しい色合いですが、日本バスは堅く、白いハスの育成に悪影響がでるため、花を見つけ抜くようにしているそうです。
環境に配慮した栽培
JAなめがた北浦地区れんこん部会連絡会は、65年以上の栽培の歴史があります。会員数は78名。行方市の肥沃な土壌をはぐくんできた二つの湖の環境を保全するため、生産者全員がエコファーマーを取得、環境にやさしい農業を実践しています。全体の出荷量は年間30万ケースにのぼり、最盛期の年末は3万ケースと年間の出荷量の1割にも及びます。
各自独自の方法で栽培しているため、目揃え会をまめに開催し、会として品質を揃えるようにこころがけています。ほかにも栽培講習会を定期的に開催し、試験栽培にも積極的に取り組んでいます。
取れたてのシャキシャキ感を
そのままお届け
「栽培でうれしいことは、れんこんがきれいな白い肌、四節でよい大きさのものが収穫できたとき。そして夏場に一面青々としたハスの葉の中に白い花が転々と咲いているのをみたときですね。夏場のハス田は壮観ですよ。」と小林さん。9月に始まった収穫は年末に最盛期を迎え、3月いっぱいまで続きます。収穫したれんこんはその日のうちに市場へ出荷され、新鮮な状態でスーパーに並びます。
普段は3から4節のれんこん、1箱4kgの段ボールで出荷していますが、2016年から1本用化粧箱での注文発送もはじめました。蓋には部位ごとに適した調理方法が紹介されています。れんこんは油との相性もよくそのまま加熱するとシャキシャキした歯ごたえが楽しめ、すりおろして加熱するととろみやもちもち感がでます。煮物、炒め物、揚げ物、蒸し物などさまざまな料理に幅広く使えるのが魅力です。
小林さんによると「シャキシャキとした食感を楽しむのにはサラダが一番おすすめ」とのことです。れんこんをお酢であえた酢バスにキュウリとハムに混ぜ、マスタード入りマヨネーズと白ごまであえて完成です。冬場は薄く切ったゆずをいれると色も映え香り付けにもなるそうです。よろしければこの機会にご家庭で召し上がってみてください。
また、れんこんは食べておいしいだけでなく体に良いとして古くから民間療法に使われてきました。風邪が蔓延しやすい冬場には、れんこんの擦り汁をお湯で割ると風邪や咳の症状を和らげる効果があることが知られています。絞り汁自体には味がついていないため、蜂蜜を加えるとおいしく飲むことができるそうです。
野菜を知り尽くしたソムリエ厳選のセット
JAなめがたでは管内の野菜をPRするべく市内の旬の野菜をセレクトした「彩り野菜BOX」の販売を行っています。内容は野菜のスペシャリストである、JAなめがたの野菜ソムリエが今一番おいしく食べられる野菜を厳選したもので季節によって内容が変わります。現在販売されているセットでは行方市の主要農産物の一つであるれんこんが選ばれています。JAなめがたの公式オンラインストアにて購入することが可能ですのでよろしければいかがでしょうか。
取材協力
JAなめがたしおさい 北浦営農経済センター
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※文中のJA名および部会名等は取材当初の名称が使用されています。