鮮やかなオレンジ色と
フルーティな甘さが自慢

中村 光男さん
じんわりと汗ばむ陽気の6月。緑がまぶしい畑地帯に映える、コンテナに積まれた鮮やかなオレンジ色のにんじんたち。茨城県の県西地区に位置する古河市三和地区では「ここ惚れにんじん」が収穫の最盛期を迎えています。三和地区を管轄するJA茨城むつみでは、収穫されたにんじんを「ここ惚れにんじん」というブランドで東北地方を中心に各市場へ出荷しています。昨年は部会員15名で約16万ケースを出荷し、県の厳しい基準をクリアした産地に与えられる「茨城県青果物銘柄産地」の指定を更新しました。
ここ惚れにんじんは「彩誉(あやほまれ)」という品種で、にんじん特有の青臭さがなく、甘さが口いっぱいに広がるのが特徴です。中村さんによると「野菜スティックで丸かじりが一番甘さを感じられる」そうです。
農家になる決意
三和地区で長年にわたりにんじん栽培に取り組んできた中村家では「ここ惚れにんじん」をおやつとして食べるのが大好きだと言います。
そんな中村さんは就農10年目。高校卒業後、公務員として忙しい日々を過ごしたのちに就農しました。「30代になったら親の跡を継ごうと決めていました」と言います。就農当時は農業について手探りのなか、ご両親の手伝いをしながら一年間の農作物の管理方法を学びました。今ではJA茨城むつみの青年部会である緑菜会にも所属し、若い農家と栽培技術や品質向上のための勉強会を積極的におこなっています。
半年後にこみあげてくる達成感
「やっぱり栽培で一番嬉しいのは、しっかりとした太さ、大きさのにんじんが採れたときだね」と中村さんのお母さんは話してくれました。
にんじんの栽培は半年間にも及びます。1月末しっかりと耕した畑にタネをまいてビニールのトンネルで寒さを和らげ、暖かくなってきたら換気と間引き作業を行います。4月には病気を防ぐための消毒・肥料散布と非常に手間がかかります。特に畑ごとに土の状態が異なるため、畑に合った土づくりや施肥が難しいといいます。過去には、まったくにんじんが育たなかった畑もあったそうです。種をまいて芽が出てくるまでひと時も気が抜けません。また、古河市は隣接する群馬県館林市とともに、夏は猛暑で冬は寒さが厳しい土地です。気温によってしっかりと換気することも身のしまったにんじんを作るうえで大切なことです。
丁寧に美しく磨いていく
収穫期になると朝の5時から、ご両親と中村さんの3人は、トラクターで掘り起こした土から一株ずつにんじんを引き抜きます。その量1回の収穫でなんと段ボール200箱分! 自宅に持ち帰ったにんじんは、水洗い機にかけて泥やひげを洗い流します。洗いすぎると皮が薄くなり腐りやすくなってしまうので、洗う時間もしっかりと決めています。つやつやと綺麗になったにんじんは、その後ベルトコンベアーで規格ごとに選別され、中村さんご夫妻の手で丁寧に箱詰めされます。出荷されたにんじんは、市場でも好評を博しています。
甘くて食べやすい
にんじんがあることを知ってほしい
「ここ惚れにんじん」のさらなる周知を図るためのPR活動も部会の大きな特徴といえます。毎年出荷最盛期に生産者が市場や小売店に行き、ジュースやゼリー、レシピを市場関係者や消費者に提供しています。販促ではすっきりとした甘さと好評で、にんじん30kg分のジュースが1時間でなくなるほどの大盛況でした。また、学校給食での使用や保育園児たちの収穫体験など子供たちに地元の野菜の美味しさを知ってもらうための食育も積極的におこなっています。子供たちからは甘くておいしいと驚く声が聞こえてきています。にんじんが苦手なお子さんも食べられるようになれるかもしれませんね。
中村さんは最後に「将来は人を雇えるくらい作付面積を広げていきたい」と夢を語ってくれました。
JA茨城むつみの「ここ惚れにんじん」。惚れぼれするような甘さをぜひ丸かじりでお試しください。
取材協力
JA茨城むつみ 三和地区営農センター
〒306-0125 茨城県古河市仁連2074-1
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