やさとのかぼちゃは、7月中旬の出荷開始に向けて最後の熟成の真っ最中です。
果肉は濃いオレンジ色をしており、特筆すべきはその甘さ。糖度は平均11度前後、加熱すると栗のような芳醇な香りと上品な甘さが楽しめると人気があります。
産地だより

石井さんのかぼちゃ

やさとのかぼちゃは、7月中旬の出荷開始に向けて最後の熟成の真っ最中です。 果肉は濃いオレンジ色をしており、特筆すべきはその甘さ。糖度は平均11度前後、加熱すると栗のような芳醇な香りと上品な甘さが楽しめると人気があります。

昔から愛されてきたおなじみの味

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JAやさと 野菜部会
かぼちゃ専門班 班長 石井 春男さん

筑波山の山懐に抱かれた古き良き里山の風情を残す旧八郷町で23年に渡り、石井さんはかぼちゃ栽培に取り組まれております。石井さんの前職は、大工。長いこと大工と、かぼちゃを栽培する兼業農家の二足の草鞋をはいていました。50代後半、地元の家づくりにかけた情熱を農業一本に注ぐことを決断します。
現在はJAやさと かぼちゃ専門班の班長として、班員28名と共に年間約2万5千ケースのかぼちゃを関東の市場へ出荷しています。

栽培しているのは「味平(あじへい)」と呼ばれる品種で、昔から一般に親しまれてきた表面の溝が浅い粉質の西洋かぼちゃです。果肉は濃いオレンジ色をしており、特筆すべきはその甘さ。糖度は平均11度前後、加熱すると栗のような芳醇な香りと上品な甘さが楽しめると人気があります。

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高品質の裏には努力がある

かぼちゃは、戦中の食糧難対策として茨城県内でも空き地や線路脇といったじつにさまざまな場所で栽培されました。場所を選ばずにたくましく育つことから「土手かぼちゃ」という言葉が誕生したほどですが、高品質のものを目指すには、たゆまぬ努力が必要です。
15年ほど前から専門班では土壌診断と栽培日誌の記入を義務付け、農薬の使用履歴、収穫開始日などを記載しJA職員の確認のもと、適正な農薬使用を徹底しています。また、種苗メーカーの担当者を圃場に招いて栽培アドバイスを受ける講習会を年2回開催し、新しい知識を活かせるよう努力しているそうです。

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栽培で特に大切なことは温度管理であると石井さんは言います。
「4月に定植するまでの約2週間はハウス内で育苗をするのですが、常に室温を20℃に保たせています。八郷周辺は5月頃まで霜が降りることもあるので、温度計や長年の経験をもとに細かく温度を調整します。実がなる植物は皆同じだと思いますが、雄花と雌花を同時期に咲かせないと実はできませんよね。定植の1週間前には温度を18度以下に下げて、子孫を残すために花を咲かせるようかぼちゃに危機感をもたせる工夫をおこなっています。」

定植後は5月までトンネルで温度管理を徹底して育てます。ミツバチによる受粉が過ぎたあたりから、横芽かきや敷き藁など実の肥大に向けて作業があわただしくなってきます。かぼちゃは地面を這って育つ野菜ですので、均等に日が当たるようかぼちゃの向きを変えることも大事な仕事です。ソフトボール大の大きさに成長した時を見るのがなにより嬉しいといいます。

「大きさと味のバランスがつり合っているものが良いかぼちゃの条件です。サイズが大きくても全く味がしないかぼちゃではダメですので、しっかりと評価をしてもらえるよう班総出で尽力しています」と石井さん。

より良い品質を求める飽くなき向上心

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班では味平かぼちゃ一本の栽培でしたが、新たに別品種に挑戦する班員も出てきました。栽培品種を部会で厳格に決めている産地もありますが、石井さんの班では各班員の判断に任せているといいます。しかし個々の栽培で終わらせず、食味、実の大きさ、収穫量について班員同士情報を共有しています。
近年では品種改良が進み、食味が良く栽培の手間が少ない品種も次々登場してきています。先輩農家から受け継がれてきた「やさとの味」を大切にしながらも常にいいものは柔軟に取り入れ吟味を重ねる。そんな自由な発想がさらなる高品質の「やさとの味」を生み出すことにつながるのでしょう。

やさとのかぼちゃは、7月中旬の出荷開始に向けて最後の熟成の真っ最中です。
お箸でほろほろとほぐれる王道の煮物からポタージュや夏野菜のお味噌汁など、食卓を彩る旨味たっぷりのかぼちゃを皆さんもたくさん味わってくださいね。

取材協力

JAやさと 中央集荷場

〒315-0118 茨城県石岡市野田591-1

TEL :
0299-43-1044
WEB :
http://www.ja-yasato.com/

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