JAほこたの根みつば栽培

根みつば部 山崎 信吉さん
緑と白のコントラスト、そして目がさめるような爽やかな香りが料理に彩りを与える根みつば。みつばには、露地で土寄せをおこない軟白部分(やわらかい部分)を栽培し根を付けて出荷する「根みつば」、床に伏せ込み軟白部分を栽培した「切りみつば」、水耕栽培されスーパーの店頭に並んでいることの多い「糸みつば」の3種類があります。
太平洋に面した茨城県鉾田市では今から40年ほど前、秋冬出荷の新しい作物としてみつばの栽培が始まりました。以前より個人で栽培していた生産者に教えを受け、地域全体で栽培が本格化しました。最盛期には生産者が150名近くにのぼり、平成9年には県の銘柄産地に指定されたこともありました。
現在は約40名の部会員が春と秋の年2回「根みつば」と「切みつば」を年間約16,000ケース市場へ出荷しています。
根みつばは気難しがりや
みつばは同じ場所に続けて栽培することを嫌う(連作障害をおこしてしまう)難しい性質をもった作物です。
新たな畑で育てるか、もしくは数年後再び栽培できるのを待たなければなりません。長年、鉾田で根みつば栽培に取り組んできた生産者の山崎さんも、根みつばの後に他の作物を作つけするなど年単位で圃場を変える工夫をしています。
根みつばは5月下旬に畑に種を蒔き、根みつばのもとになる根株を育てることから始まります。順調に芽が出てきても気が抜けません。暑さに負けて根元から溶けてしまうことがあるそうです。「夏場を乗り切れるかが一つの大きな壁ですね。」と山崎さん。井戸のある圃場では、育成状況を見ながら定期的に灌水することで乗り切っているそうです。
無事に夏場を乗り切り9月末になると茎を切り落として、いよいよ軟白部分をつくるための土寄せが始まります。土で遮光し20日から1か月、新たに成長した茎が根みつばとして出荷されます。
長年の技術が活きるひら束づくり
一株ずつ丁寧に収穫した根みつばは、水洗いして泥を落としたのち山崎さんの奥様の手で綺麗に整えられ、約300gを一株としてひら束にし、箱詰めされます。
茎の根元を揃えたままひら束にする作業は、やわらかな根みつばを傷つけないよう絶妙な力加減で行われます。
根みつばを料理の主役に
茎が太く、シャキシャキと歯ざわりが良いため、卵とじや天ぷら、ごま和えなどさまざまな料理に活用できる根みつばですが、あまり食べ方が知られていないのが課題だと山崎さんは言います。
以前はリーフレットでレシピを紹介したりもしましたが、現在は栽培の難しさから生産者も少なくなり、消費者に向けたPRができにくくなっているそうです。部会として主役になれる食材だということをもっと消費者にアピールしてくことが今後の課題といえます。
猛暑を乗り越え、栄養をたっぷり吸収して育ったJAほこたの根みつばは、農産物直売所「なだろう」や関東の小売店にて期間限定で販売中です。
希少な旬の味をぜひご賞味ください。
取材協力
JAほこた
営農情報センター
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