豊富な種類のメロン産地

爽やかな香りと瑞々しく甘い果肉が特徴のメロン。
上品な甘さをもったマスクメロンや、香り良く一般の方が気軽に楽しめるプリンスメロンが有名ですね。
茨城県西側に位置する筑西市関城地区のJA北つくば関城メロン部会では、総面積10haの圃場で、なんと7種類ものメロン栽培に取り組んでいます。プリンスメロンをはじめ、キンショウメロン、ホームランメロンなど楕円形のノーネットメロンから網目模様のマスクメロンまでたくさんの品種を4月下旬から6月下旬までの間、関東と東北市場に出荷しています。
部会では品種を限定せず、部会員が圃場との相性や他の作物との作業時期を考慮しながら、豊富な品種のメロンを栽培しています。
美味しいメロンは繊細な温度管理から
JA北つくば関城メロン部会の部会長を務める梶川さんは、古くから梨の産地である関城地区で生まれ育ち、学校を卒業後に就農、以来40年以上に渡りメロン栽培に携わってきました。実家は梨を主体に栽培する農家でしたが、のちにメロン栽培に転向。栽培品種も増やし、今ではプリンスメロンとホームランメロン合わせて70aの栽培をしています。
ホームランメロンとは、表面がクリーム色の楕円形のメロンで、開発当時に人気のスポーツであった野球から命名されました。
果肉も皮と同じクリーム色で、強い甘みと柔らかでとろけるような食感が特徴です。関城のメロン部会では、糖度15度以上のものを厳選して出荷するよう心がけています。
メロン栽培には徹底した温度管理が必要不可欠です。12月に定植してから収穫まで約120~130日程かかり、栽培管理のほとんどを厳寒期におこないます。
特にこの地域は、厳寒期に筑波山から冷たい風が下りてきて冷えこむので、ビニールハウス内にトンネルを作り、苗に霜よけの不織布をべたがけして4重の保温対策をとるようにしています。
また、雨が降ったあと日が射したときは、急激な気温の変化でメロンがヤケてしまわないよう、急いでハウスを開けて換気をします。「天候や気温の変化は毎年変わり、前年の対策が使えないことがほとんどです。特に近年は異常気象が多く、出荷が終わるまで目がはなせません。勉強の毎日ですね。」と梶川さん。一日のほとんどを圃場で過ごし、その都度変化する温度に心を配っています。
病気に強いメロンを作る
部会では「接ぎ木」をおこない、病気に強い樹勢が良い苗栽培に取り組んでいます。
また、圃場では有機質の完熟堆肥を入れた土作りをしっかりとおこなうようにしています。「土作りにこだわった分だけ、味がのった美味しいメロンとなって返ってくるんです。」と梶川さんは語ります。
土作りや苗作り、ハウス内の温度調節といったさまざまな工夫をすることで、収穫期には真っ白で綺麗な肌のメロンができあがるのです。
魅力ある産地として
部会では後継者問題が長年の悩みだといいます。
「先日もテレビで一次産業の後継者不足が特集されていましたね。大小の違いはあれど、同じように悩まれている産地は多いと思います。
現在、メロン部会の会員は19名いますが一番若い人で55歳、最年長は84歳です。その中でも後継者がいる人はわずかなため、今後ゆっくりと生産者が減少することが懸念されています。昔から関城は集落ごとに梨、メロン、桃の畑が広がり、一部ではフルーツ街道と呼ばれるほど果物の栽培が盛んな地域です。
受け継いできた技術と歴史を私たちの代で消さないように、これからも品質や生産量を維持し、魅力ある産地として部会全体でアピールしていきたいと思います。」
市場からの信頼も厚く、指名が入ることもあるという関城地区のメロン。熟す前に出荷し、小売店に並んだ際に食べごろを迎えるよう調節して出荷しているそうです。小売店で見かけた際にはその甘い魅惑的な香りを是非体感してみてくださいね。
取材協力
JA北つくば 関城地区 関城集荷場
〒308-0129 茨城県筑西市上野1045
- TEL :
- 0296-37-6340